交通事故での弁護士への相談・依頼

更新日:2023年07月02日

執筆者:弁護士 深田 茂人

交通事故被害者が損をしないための情報を手軽に得られるように、「交通事故お役立ち手帳」サイトを運営・執筆しています。そのコンセプトに賛同する全国の交通事故に詳しい弁護士とともに、無料相談にも対応しています。弁護士歴18年、交通事故相談担当1000件以上、大分県弁護士会所属(登録No33161)。

執筆者プロフィール

弁護士に相談するタイミング、依頼をするメリットとデメリット、交通事故に詳しい弁護士の選び方、弁護士にかかる費用、弁護士費用特約について解説します。

相談者(困り顔)
弁護士さんに相談するべきか悩んでいます
弁護士
相談するタイミング、メリットとデメリット、弁護士の選び方、費用などについて説明しますね

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弁護士に相談するタイミング

中年男性
交通事故で弁護士に相談するタイミングとしては、いつがよいでしょうか
弁護士
次のようなときに、弁護士に相談することをおすすめします
  • 何をどうしていいのか分からないとき
  • 具体的に分からないことがあるとき
  • 自分で保険会社とやりとりするのを負担に感じたとき

以下、くわしく解説します。

何をどうしていいのか分からないとき

すぐに相談しましょう。

加害者側の保険会社は、被害者にとって必要な情報を十分には教えてくれません。
なぜなら、保険会社は、継続的に保険料を払ってくれている加害者側の立場で、かつ、会社の利益も考えて動いているからです。

ですので、被害者としては、被害者側の視点をもった弁護士から情報を得ることが重要です。

なお、このサイトでも、交通事故被害者にとって必要な情報を提供しております。
弁護士との相談がスムーズになると思いますので、ぜひご活用ください。

具体的に分からないことがあるとき

その都度相談しましょう。

実際に弁護士への相談が多いのは、以下のようなときです。

  • 保険会社の担当者の言う過失割合に納得できないとき
  • 保険会社が治療費や休業損害を支払わないとき
  • 保険会社の担当者から治療費支払いの打ち切りを言われたとき
  • 治療を終えて、医師に後遺障害診断書を書いてもらうとき
  • 後遺障害診断書を保険会社に提出するとき(後遺障害等級の申請をするとき)
  • 保険会社から通知された後遺障害等級に納得できないとき
  • 保険会社から賠償額が提示されたとき(示談交渉のとき)
  • 相手方の弁護士が出てきたとき

保険会社とのやりとりを負担に感じたとき

弁護士への依頼も視野に入れて相談することをお勧めします。

保険会社の担当者とやりとりするのに不安や負担を感じるときは、弁護士に依頼して、代わりにやりとり(交渉など)をしてもらうことが考えられます。

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弁護士に依頼するメリット

弁護士に依頼するメリットは、次の2つです。

  1. 得られる賠償額が上がります
  2. 保険会社とやりとりする負担がなくなります

くわしく解説します。

得られる賠償額が上がります

弁護士は「弁護士基準」を使って、賠償額について保険会社と話し合いをします。

弁護士基準とは「裁判で使われる賠償額の計算方法」のことで、保険会社の提示額の2倍以上になることもよくあります。

弁護士基準と任意保険基準の表グラフ

もっと詳しく「弁護士基準」について知りたい方はこちら

保険会社は、話し合いの場面では、弁護士基準が裁判で使われるものであることを理由に、弁護士基準どおりの金額をなかなか支払おうとはしません。

しかし、裁判のプロである弁護士が、裁判になった場合の有利な事情や証拠を具体的に示して交渉すると、保険会社は裁判を避けようとして、しぶしぶ金額を上げてきます。

こうして、賠償額が弁護士基準の金額に近づくことが期待できます(弁護士基準と全く同じ金額を獲得するためには、裁判しなければならないことが多いです)。

ただし、弁護士がいくら交渉しても、保険会社の担当者の本件事故に対する考えによっては、弁護士基準の金額になかなか近づかないというケースもあります。

そのようなケースでは、

  • 弁護士の交渉によってどのくらい弁護士基準の金額に近づいたか
  • どのような個別の事情があるか
  • 有利な証拠
  • 不利な証拠
  • 裁判にかかる時間や費用

を弁護士と一緒に検討して、示談裁判のどちらにするか決めるとよいと思います。

被害者に有利な証拠の典型例

  • 事故をした車が大きく損傷している写真
    事故による衝撃が大きかったと考えられるので、事故によってケガをしたことを証明しやすいです。
  • 身体の異常を示す検査結果
    ケガの存在や内容を証明しやすいです。
  • 症状が重いと記載されたカルテ
    症状が重いことを証明しやすいです。

被害者に不利な証拠の典型例

  • 事故をした車の損傷が小さい写真
    事故による衝撃が小さかったと裁判官が考える可能性があるので、事故によってケガをしたことを裁判官が認めない可能性があります。
  • 身体の異常がみつからないという検査結果
    病院の検査で常に異常が発見できるとは限りませんが、異常を示す検査結果がない場合は、ケガの存在を裁判官が認めない可能性があります。
  • 症状が軽いと記載されたカルテ
    症状が軽いと裁判官が判断する可能性があります。

保険会社とやりとりする負担がなくなります

交通事故の被害に遭われて心身ともに大変なときに、保険会社の担当者とやりとりするのは負担が大きいと思います。

弁護士に依頼をすると、弁護士が代わりに保険会社とやりとりしますので、そのような負担がなくなります。

弁護士が被害者の代わりにやりとりをする例には、以下のものがあります。

  • 法律文献や過去の判例に基づいて、妥当な過失割合を検討し、保険会社と交渉します。
  • 治療費の打ち切りが妥当かを検討し、打ち切りを受け入れるべきでないときは、保険会社と交渉します。
  • 医師作成の後遺障害診断書の記載に漏れがないかをチェックします。
    また、必要に応じて、医師に対し、後遺障害等級の認定のために必要な検査などをお願いします。
  • 後遺障害等級の認定のために必要な資料を検討した上で、等級認定の申請や異議申し立てをします。
  • 賠償額について示談交渉をしたり、裁判をしたりします。

弁護士に依頼するデメリット

弁護士に依頼するデメリットとしては、次の2つが考えられます。

  1. 弁護士費用がかかります
  2. 解決まで時間がかかります

くわしく解説します。

費用について

弁護士に相談した場合は相談料、依頼した場合は着手金などの弁護士費用がかかります。

費用がかかることのデメリットをなくしたり、減らしたりするには、次の1または2の方法が考えられます。

  1. 弁護士費用特約を利用する
  2. 弁護士費用特約を利用できない場合は、弁護士に依頼するメリットと費用を比較する

1の弁護士費用特約についてはこちらをご覧ください。

2の場合は、弁護士に依頼すると賠償額がどのくらい上がると想定されるか、弁護士費用はいくらかかるかを相談する弁護士に聞いてみましょう。

なお、当サイトでは慰謝料などの賠償金自動計算のご利用後にメールでの無料相談ができます。ぜひご活用ください。

時間について

保険会社との交渉は、保険会社のいいなりになってしまえば、当然、早く終わります。

しかし、弁護士は、手段を尽くして賠償額が上がるように動きます。
たとえば、

  • 後遺障害等級の認定のため、担当医に会いに行ったり、カルテや医学文献などを調査したりする。
  • ねばり強く交渉を繰り返す(保険会社はすんなりとは増額に応じないため)。
  • ケースによっては裁判をする。

そのため、賠償金が入ってくるまでに相応の時間がかかります。

弁護士に相談するときに、要する時間についての予想を聞いてみましょう。

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交通事故に詳しい弁護士の選び方

相談のときに、ご自身の事故に関する質問をたくさん弁護士にぶつけてみましょう。
弁護士を選ぶ上で、とても手っ取り早く、有効な方法です。
なぜなら、交通事故に詳しいかどうかはもちろん、弁護士の姿勢や考え方なども見えてくるからです。

分からないことは遠慮せずに何でも質問しましょう

詳しく分かりやすく説明してくれるかがポイントです。

このサイトで情報を得て、分からないことがあったら、それを弁護士に聞いてみましょう。

弁護士「逸失利益の証拠が必要です」 被害者「この証拠は使えますか?」 弁護士「話が早くて助かる!」 被害者「よくわかる」
あらかじめ情報をもっていれば、相談もスムーズに

有利なこと・不利なことを教えてもらいましょう

保険会社と交渉や裁判をする場合、被害者にとって有利なことばかりとは限りません。

依頼の前に、弁護士が、有利なことだけでなく不利なことも、理由を含めて説明してくれることはとても重要なことです。

たとえば、治療費の打ち切りはやむを得ないといわれた場合、症状固定(=治療の効果が無い)と判断する理由を聞いてみましょう。
また、後遺障害等級の認定が難しいといわれた場合、後遺症の内容が認定の基準に合致しないのか、または、後遺症の内容を医学的に証明できないのかを聞いてみましょう。

ただし、カルテなどの医療記録が揃わない段階では、「このような証拠があれば、有利(または不利)になります」というように、弁護士も仮定のもとでアドバイスすることが多いです。

方針を教えてもらいましょう

被害者にとって有利なことについては、どのようにして保険会社に応じてもらうか(交渉・異議申立・裁判など)、不利なことについては、どのように交渉するか、どのくらい妥協すべきかなどの方針を弁護士に聞いてみましょう。

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弁護士費用はいくら?

相談したときの相談料や依頼したときの着手金などの弁護士費用については、平成16年までは弁護士会の定めた基準がありました。
しかし、現在、その基準は廃止され、各弁護士が自由に弁護士費用を決めることができるようになっています。

ですので、弁護士に相談したり依頼したりするときは、事前にその事務所が弁護士費用をどのように決めているのかを確認するとよいと思います。

このサイトで無料相談を担当している弁護士の費用はこちらから確認できます。

弁護士
弁護士費用には、相談料・着手金・報酬・実費があります。以下で説明しますね

相談料

弁護士に相談をしたときにかかる費用です。

相談の前に確認しておきましょう。

このサイトを通じての弁護士相談は無料です。

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着手金

弁護士に依頼したときにかかる費用です。

依頼すると、弁護士に保険会社とのやりとり(交渉など)をしてもらったり、裁判をしてもらったりすることができます。

次項で説明する「報酬」とは異なり、弁護士が働くことに対する対価ですので、成功不成功によって金額が変わることはありません。

報酬

成功の対価として弁護士に支払うものです。

成功報酬ともいわれるもので、不成功の場合は支払う必要がありません。

何をもって成功とするのか、どのように金額を決めるのかについては、弁護士の説明をよく聞き、弁護士と交わす契約書をしっかり確認しましょう。
分からないことがあれば、遠慮せずに質問することが大切です。

実費

弁護士が仕事をするときに必要となる経費です。

例としては以下のものがあります。

  • 医師に意見書を書いてもらうときに医師に払う謝金
  • 弁護士が移動した場合にかかる交通費
  • 裁判をしたとき裁判所にかかる印紙代

どのようなものがいくらくらいかかりそうかを、依頼する前に弁護士に確認しましょう。

相手に請求できるか

加害者側の保険会社は、話し合いでは、被害者の弁護士費用を支払おうとはしません。

しかし、裁判で弁護士費用の支払いを請求すれば、賠償額の1割程度を弁護士費用として上乗せして支払うよう命じる判決が下されるのが一般的です。

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弁護士費用特約が保険に付いていたら、弁護士費用は無料?

弁護士に相談をすると相談料、依頼をすると着手金・報酬・実費の弁護士費用がかかります。

しかし、ご自身やご家族の自動車保険証券の表面または裏面に弁護士費用特約の記載がある場合、弁護士費用を保険でまかなうことができる可能性があります。

*弁護士費用特約の内容は、以下のとおりであることが多いですが、各保険会社が定めた約款(やっかん)によっては異なることがあります。

使える人

次のいずれかの人が、交通事故の被害に遭い、弁護士に依頼するときに使えます。

  • 弁護士費用特約がついている自動車保険の証券に"主にその車に乗る人"として記載された人(「記名被保険者」といいます)
  • 記名被保険者の配偶者
  • 記名被保険者と同居している親族
  • 記名被保険者と別居している未婚の子
  • 保険契約をしている自動車に乗っていた人(知り合いなど)

使える事故

上記の弁護士費用特約を使える人が、次の1から3のいずれかの事故で被害に遭った場合に使えます。

  1. 保険契約をしている自動車に乗っていたときの事故
  2. 保険契約をしている自動車以外の自動車(タクシー、バス、友人の車、原付、バイク)に乗っていたときの事故
  3. 歩いていたり自転車に乗ったりしていたときの自動車との事故

ただし、各保険会社の定める約款(やっかん)によっては、2や3の事故では弁護士費用特約を使えないこともあります。

使い方

相談や依頼をする弁護士が決まったら、弁護士費用特約を契約している保険会社に電話しましょう。

なお、保険会社が弁護士を紹介してくれることもありますが、保険会社が紹介する弁護士でなければ弁護士費用特約を使えないということは全くありません
なぜなら、患者が自分の命を託す医者を自由に選べるのと同じように、交通事故被害者も自分の財産(賠償金)を託す弁護士を自由に選べなければおかしいからです。

保険会社に電話すると、必要な手続資料が送られてきて、弁護士費用特約を使えるようになるのが一般的です。

もし、保険会社が弁護士費用を使わせてくれない場合は、そのことも含めて弁護士に相談して、約款(やっかん)を確認してもらいましょう。

上限額

相談料は上限10万円、着手金・報酬・実費の合計額は上限300万円です。

賠償額が高額な場合、着手金・報酬・実費で自己負担分が生じることがあります。
依頼をする前に弁護士に確認しましょう。

保険料

弁護士費用特約を使っても保険料は上がりません

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このページの執筆者
弁護士 深田茂人

弁護士 深田茂人
大分県弁護士会所属
登録番号33161

大分市城崎町の深田法律事務所代表。
弁護士歴18年、交通事故の相談を1000件以上担当してきました。交通事故被害者と保険会社の情報格差をなくしたいと思い、当サイトにて執筆しています。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

このサイトは、交通事故被害者に不可欠な情報を提供しています。

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