2021.09.12 更新

後遺症

このページでは、後遺障害等級の認定の手続き、認定の基準、等級ごとの賠償金額などについて解説します。

相談者(困り顔)
後遺症が残ったのですが、賠償金に影響しますか?
弁護士
はい。まずは後遺障害等級を認定してもらいましょう。そして、等級に応じた賠償金を請求します。

【弁護士のアドバイス】

  • 医師に症状固定といわれたら、後遺障害診断書を書いてもらいましょう(*症状固定=治療を続けても改善しないこと)。
  • 後遺障害診断書を保険会社に提出すると、後遺障害等級が通知されます。
  • 等級は1~14級まであり、1級から順に賠償額が高くなります。
ご自身の後遺症の後遺障害等級が何級かを調べたい方はこちら

後遺症が残る場合の流れ

各段階のイラストをクリックすると、詳しい解説をご覧いただけます。

治療 事故によるケガの治療(クリックすると治療費のページに移動します) 症状固定 治療の効果がなくなり、後遺症が残った 後遺障害等級 後遺症の等級を認定してもらいます。 等級の認定基準 等級ごとの賠償金の相場 認定された等級への不満がが ある or ない ある場合 意義申し立て 等級再認定 ない場合 示談金の交渉 保険会社との交渉が・・・ 成立した場合 示談成立 不成立だった場合 裁判

症状固定

治療を継続しても症状が改善しなくなり、後遺症が残ったことを「症状が固定した」といいます。
症状が改善しなくなった最初の日を「症状固定日(しょうじょう こていび)」といいます。

治療開始日→治療→症状固定日(後遺症)

症状が固定した場合は、医師に「後遺障害診断書(こういしょうがい しんだんしょ)」を書いてもらいましょう。
後遺障害診断書は、症状固定日や後遺症の内容を記載したもので、後遺障害等級を認定してもらうために必要です。

後遺障害診断書の症状固定日欄

後遺障害診断書を見れば、症状固定日がいつなのかがわかります。
よくわからない場合は、病院に問い合わせると教えてもらえます。

後遺障害等級

交通事故では、後遺障害等級を認定してもらわなければ、後遺症が残った分についての賠償金(後遺症慰謝料、後遺症逸失利益など)を請求できないのが原則です。

後遺障害等級は1~14級まであります。
ただし、1級と2級にかぎり、別表第一(介護を要するもの)と別表第二(介護を要しないもの)に分かれますので、全部で16段階あることになります。

1級から順に重症であり高い等級とされています。
高い等級ほど賠償金額が高くなります。
等級が認められない場合は「等級非該当(とうきゅう ひがいとう)」と通知されます。

後遺障害等級

後遺症ごとの後遺障害等級の認定基準について知りたい方は、後遺症の部位を次から選んでください。

眼・耳・鼻・口

神経(高次脳機能障害、麻痺、ムチウチ、てんかん、痛みなど)

内臓

体幹骨(背骨、鎖骨、ろく骨、けんこう骨、骨盤骨、胸骨)

上肢・下肢(腕や足)

醜状(傷あと、やけど、陥没、耳・鼻・まつげの欠損など)

典型的でない後遺症

後遺症が複数ある場合

事故前に既往症があった場合

等級の認定手続き

次の1~5の順に手続きが進められ、後遺障害等級が認定されます。

  1. 医師後遺障害診断書を作成してもらいます。
  2. 後遺障害診断書を保険会社に提出します。
  3. 保険会社は、後遺障害診断書を損害保険料率算出機構に提出します。
  4. 損害保険料率算出機構は、後遺障害診断書の記載内容にもとづいて、後遺障害等級を認定します。
  5. 保険会社から被害者に後遺障害等級が通知されます。

後遺障害診断書

後遺障害診断書は、医師が後遺症の内容を記載する診断書です。
決められた書式がありますので、保険会社からもらいましょう(以下でダウンロードもできます)。

後遺障害診断書

後遺障害診断書(PDF)をダウンロード

提出先

任意保険会社または自賠責保険会社のいずれかを被害者が選択し、後遺障害診断書を提出します。

どちらかに提出する 任意保険会社 自賠責保険会社

任意保険会社に提出する方法

後遺障害診断書を任意保険会社に提出する方法を「事前認定(じぜん にんてい)」といいます。

治療中からやりとりをしてきた任意保険会社の担当者に提出するので、利用しやすい方法といえます。
後遺障害診断書以外の書類の準備を担当者がしてくれるので、手間がかかりません。

ただし、任意保険会社は、認定された等級にもとづいて賠償金を支払うので、等級の認定に利害がからみます。
等級認定のため、より充実した書類を準備するという姿勢に欠ける可能性があります。

自賠責保険会社に提出する方法

後遺障害診断書を自賠責保険会社に提出する方法を「被害者請求」といいます。

後遺障害診断書以外の書類の準備を自分でしなければならないので、手間がかかります。

ただし、等級認定のため、より充実した書類を自分で準備できるメリットがあります。

提出書類などについては自賠責保険のページをご覧ください

なお、弁護士に被害者請求を依頼すると、提出書類をよく検討してもらえます。

等級の認定基準

弁護士
後遺障害等級が認定されるためには、次の2つが必要です。

<等級が認定されるために必要なこと>

  1. 各等級にあてはまる後遺症が残ったこと
  2. 後遺症の原因が検査などで証明できること

たとえば、12級の「右足首の動かせる範囲が4分の3以下」は、

  1. 右足首の動かせる範囲が4分の3以下になったこと
  2. 1の後遺症の原因となる右足関節部の骨が欠けていることがCT画像で証明できること

の2つが揃えば認定されます。

足のCT画像

もっとも、現在の医療水準では、後遺症の原因をつねに検査によって証明できるとは限りません。
そのため、検査によって証明(しょうめい)できなくとも、ケガをした状況や医師の診察などによって後遺症が残ることを説明(せつめい)できる場合には、低い等級ですが14級が認定されることがあります。

また、裁判では、少数ではありますが、検査結果という直接的な証拠がなくても、さまざまな状況証拠によって等級が認定されているケースもあります。

各後遺症についての後遺障害等級の認定基準を以下のページで解説しています。

眼・耳・鼻・口の後遺症の等級認定基準

神経(高次脳機能障害、麻痺、ムチウチ、てんかん、痛みなど)の後遺症の等級認定基準

内臓の後遺症の等級認定基準

体幹骨(背骨、鎖骨、ろく骨、けんこう骨、骨盤骨、胸骨)の後遺症の等級認定基準

上肢・下肢(腕や足)の後遺症の等級認定基準

醜状(傷あと、やけど、陥没、耳・鼻・まつげの欠損など)の後遺症の等級認定基準

典型的でない後遺症

後遺症が複数ある場合

事故前に既往症があった場合

等級ごとの賠償金額

後遺症が残った分の賠償金の相場(弁護士基準)は、以下のとおりです。

後遺症慰謝料

後遺症慰謝料とは、後遺症が残ったことに対し、加害者がおわびするためのお金です。
等級によって、以下のとおり金額が異なります。

等級別の後遺症慰謝料表

詳しくは後遺症慰謝料のページをご覧ください

後遺症逸失利益

後遺症逸失利益(こういしょう いっしつりえき)とは、後遺症が仕事に影響して稼ぎにくくなったお金です。

次の式で金額を計算します。

年収✕後遺症が影響して稼ぎにくくなった割合✕後遺症が影響する年数のライプニッツ係数

「後遺症が影響して稼ぎにくくなった割合」は、次のとおり、等級によって異なります。
1~3級:100%、4級:92%、5級:70%、6級:67%、7級:56%、8級:45%、9級:35%、10級:27%、11級:20%、12級:14%、13級:9%、14級:5%

このように%が異なるので、等級によって金額が大きく異なります。

例)年収500万円、40歳の場合
・10級の金額
500万円×27%×18.327=2474万1450円
・9級の金額
500万円×35%×18.327=3207万2250円
・9級と10級の差額
3207万2250円-2474万1450円=733万0800円

詳しくは後遺症逸失利益のページをご覧ください

また、別表第一の1級または2級の場合は将来の介護費用も請求できることが多いです。

電卓を持つ弁護士
こちらの慰謝料などの賠償金自動計算機のページでは、「弁護士基準」で後遺症慰謝料や後遺症逸失利益などの賠償金を自動計算できます

等級認定に対する異議申し立て

認定された等級への不満がある場合、次のいずれかの手段をとるか、または、裁判をする必要があります。

  • 保険会社に異議申立書を提出する
    改めて等級の認定をしてもらうよう、保険会社に異議申し立てをすることができます。
    同じ機関(=損保料率機構)が等級を再判断します。
    保険会社から異議申立書の書式をもらえるので、必要事項を記載して、保険会社に提出します。
    回数制限はありません。
  • 自賠責保険・共済紛争処理機構に不服申し立てをする
    保険会社に異議申立書を提出するのではなく、自賠責保険・共済紛争処理機構に対して、認定された等級の不服を申し立てるという方法もあります。
    1回しかできません。

等級が認定されるための要件は「等級にあてはまる後遺症が残ったこと」と「後遺症の原因が検査などで証明できること」です。

等級にあてまはる後遺症が残っていることが、後遺障害診断書にきちんと記載されていることが必要です。
もし記載に漏れがある場合は、医師に追加の診断書を書いてもらう必要があります。

後遺症の原因が検査などで証明できない場合も等級が認定されません。
後遺症の原因を明らかにする検査を追加で受けるなどの必要があります。

弁護士に相談すると、認定された等級が妥当であるか、異議申し立てなどの具体的な方法を教えてくれます。

等級の認定基準については、以下のページをご覧下さい。

眼・耳・鼻・口の後遺症の等級認定基準

神経(高次脳機能障害、麻痺、ムチウチ、てんかん、痛みなど)の後遺症の等級認定基準

内臓の後遺症の等級認定基準

体幹骨(背骨、鎖骨、ろく骨、けんこう骨、骨盤骨、胸骨)の後遺症の等級認定基準

上肢・下肢(腕や足)の後遺症の等級認定基準

醜状(傷あと、やけど、陥没、耳・鼻・まつげの欠損など)の後遺症の等級認定基準

典型的でない後遺症

後遺症が複数ある場合

事故前に既往症があった場合

示談交渉

認定された等級を前提として、保険会社と賠償金額について話し合いをします。

示談交渉で、認定された等級がおかしいと主張することはできません。
等級に不服がある場合は、異議申し立てや裁判をする必要があります。

示談交渉について詳しくはこちら

裁判

認定された等級に不服があったり、保険会社との示談交渉がまとまらなかったりする場合は、裁判を起こすことができます。

裁判では、改めて等級を裁判官に決めてもらうこともできますし、認定された等級は争わずに賠償金額だけを裁判官に決めてもらうこともできます。

裁判について詳しくはこちら

このページの執筆者
弁護士 深田茂人(大分県弁護士会所属、登録番号33161)
大分市城崎町の深田法律事務所代表。
弁護士歴15年、交通事故の相談を800件以上担当してきました。交通事故被害者と保険会社の情報格差をなくしたいと思い、当サイトにて執筆しています。