2021.11.17 更新

肺の機能が低下した後遺障害の等級

肺の機能が低下した後遺症が残った場合に保険会社から認定される後遺障害等級について解説します。

後遺症の程度と等級

以下のように、肺の機能低下の程度によって等級が認定されます。
肺の機能低下の程度は次の各検査によって証明する必要があります。

「動脈血酸素分圧」=血液内に酸素を送り込む肺の働きを数値で表したもの。単位はTorr(トル)で、健康な人の平均値は100Torrです。
「動脈血炭酸ガス分圧」=血液中に含まれている二酸化炭素の割合を数値で表したもの。単位はTorr(トル)で、健康な人は約40Torrです。
「%1秒量」=肺活量の測定装置(スパイロメーター)を使い、息をいっぱいに吸い込み、できるだけ早く息を吐ききる努力をしたときに、最初の1秒間に吐き出せた空気の量(1秒量)が健康な人と比べてどうかを表す数値。
「%肺活量」=年齢や身長から計算される予測肺活量と比べて実際の肺活量はどうかを表す数値。

1級(別表第一)
常に介護を要するほど肺の機能が低下しており、日常生活の範囲が病床に限定。
具体的には、次の①~③のいずれかの検査結果があること。
①動脈血酸素分圧が50Torr以下。
②動脈血酸素分圧が50Torrを超え60Torr以下であり、動脈血炭酸ガス分圧が37Torr以上43Torr以下にない。
③呼吸困難のため、連続しておおむね100m以上歩けず、かつ、%1秒量が35以下または%肺活量が40以下。
2級(別表第一)
ときどき介護を要するほど肺の機能が低下しており、主として病床にあるが、食事・用便など短時間の離床は可能。
具体的には、次の①~③のいずれかの検査結果があること。
①動脈血酸素分圧が50Torr以下。
②動脈血酸素分圧が50Torrを超え60Torr以下であり、動脈血炭酸ガス分圧が37Torr以上43Torr以下にない。
③呼吸困難のため、連続しておおむね100m以上歩けず、かつ、%1秒量が35以下または%肺活量が40以下。
3級
肺の機能低下のため、就労は不可能。
具体的には、次の①~③のいずれかの検査結果があること。
①動脈血酸素分圧が50Torr以下。
②動脈血酸素分圧が50Torrを超え60Torr以下であり、動脈血炭酸ガス分圧が37Torr以上43Torr以下にない。
③呼吸困難のため、連続しておおむね100m以上歩けず、かつ、%1秒量が35以下または%肺活量が40以下
5級
肺の機能低下のため普通の人の4分の1程度しか働けない。
具体的には、動脈血酸素分圧が50Torrを超え60Torr以下であること。
7級
肺の機能低下のため普通の人の2分の1程度しか働けない。
具体的には、次の①~③のいずれかの検査結果があること。
①動脈血酸素分圧が60Torrを超え70Torr以下であり、かつ、動脈血炭酸ガス分圧が37Torr以上43Torr以下にない。
②呼吸困難のため、平地ですら健常者と同様には歩けないが、自分のペースでなら1km程度の歩行が可能であり、かつ、%1秒量が35以下または%肺活量が40以下。
③呼吸困難のため、連続しておおむね100m以上歩けない程度か、平地ですら健常者と同様には歩けないが、自分のペースでなら1km程度の歩行が可能な程度であり、かつ、%1秒量が35を超え55以下または%肺活量が40を超え60以下。
9級
肺の機能低下のため一般的な仕事でもできないものがある。
具体的には、動脈血酸素分圧が60Torrを超え70Torr以下であること。
11級
肺の機能低下のため仕事に支障がある。
具体的には、次の①~④のいずれかの検査結果があること。
①動脈血酸素分圧が70Torrを超え、動脈血炭酸ガス分圧が37Torr以上43Torr以下にない。
②呼吸困難のため、健常者と同様には階段の昇降ができず、かつ、%1秒量が55以下、又は、%肺活量が60以下。
③呼吸困難のため、連続しておおむね100m以上歩けない程度か、平地ですら健常者と同様には歩けないが、自分のペースでなら1km程度の歩行が可能な程度か、または、健常者とは同様には階段の昇降ができない程度のいずれかであり、かつ、%1秒量が55を超え70以下、又は、%肺活量が60を超え80以下。
④呼吸困難であり、運動負荷試験(漸増運動負荷試験、6分間・10分間等の歩行試験、シャトルウォーキングテスト等の時間内歩行試験、50m歩行試験等)の結果から明らかに呼吸機能に障害があると認められる。
等級非該当
上記等級ほどの重い症状は無い
非典型後遺症
上記等級にあてはまらない重い症状がある

等級が認定されるためには肺の機能低下の原因が検査などで証明できなければなりません。

後遺障害診断書に書いてもらう

医師に後遺障害診断書の②欄「胸腹部臓器・生殖器・泌尿器の障害」に記入してもらい、検査表を添付して、それらを自賠責保険会社または任意保険会社に提出して、後遺障害等級を認定してもらいます。

後遺障害診断書の②欄「胸腹部臓器・生殖器・泌尿器の障害」

このページの執筆者
弁護士 深田茂人(大分県弁護士会所属、登録番号33161)
大分市城崎町の深田法律事務所代表。
弁護士歴15年、交通事故の相談を800件以上担当してきました。交通事故被害者と保険会社の情報格差をなくしたいと思い、当サイトにて執筆しています。

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