2021.04.09 更新

交通事故の慰謝料(相場、請求できるもの)

「交通事故に遭ったのですが、慰謝料を請求できますか?」

【弁護士のアドバイス】

  • 交通事故で請求できる慰謝料は3種類あります。
  • 慰謝料の金額には「相場」があります。
  • 慰謝料のほかにも請求できるものがあります。
弁護士
これらを知っておくと、保険会社と話がしやすくなります。くわしく解説します

3種類の慰謝料

交通事故に遭われた被害者には様々な精神的負担がかかります。
ケガをされた場合の痛みや治療の苦痛、後遺症が残った場合の生活の不便によるわずらわしさ、亡くなられた場合の無念さなどです。

そして、加害者が被害者に精神的な負担をかけてしまったことをおわびするためのお金を慰謝料(いしゃりょう)といいます。

交通事故の慰謝料には次の3つの種類があります。

  • 傷害慰謝料
    ケガをさせたことをおわびするためのお金(入通院慰謝料ともいいます)
  • 後遺症慰謝料
    後遺症が残ったことをおわびするためのお金(後遺障害慰謝料ともいいます)
  • 死亡慰謝料
    死亡させたことをおわびするためのお金

慰謝料の種類

後遺症が残った場合は、後遺症慰謝料だけではなく、傷害慰謝料も請求できます。

ケガをして1日以上経過した後に亡くなられた場合は、死亡慰謝料だけではなく、傷害慰謝料も請求できます。

慰謝料の相場

保険会社が提示する金額は、会社内部のマニュアルで計算したものにすぎず、「支払い額をこの金額に抑えたい」という保険会社の単なる希望でしかありません。

被害者としては、金額が最も高くなる「弁護士基準」で計算し、保険会社と金額について話し合うことが大切です。

以下では、弁護士基準を「相場」として、その計算方法を解説します。

弁護士基準と任意保険基準の表グラフ

弁護士基準について詳しく知りたい方はこちら

電卓を持つ弁護士
賠償金自動計算機のページでは「弁護士基準」で慰謝料などの賠償金を自動計算できます

傷害慰謝料

ケガをさせたことをおわびするためのお金(傷害慰謝料)の弁護士基準は、次の表のとおりです。
入通院期間やケガの内容によって金額が決められています。

傷害慰謝料の別表1

ただし、他覚所見がないムチウチや軽い打撲・キズの場合は、次の表が使われます。

傷害慰謝料の別表2

入院期間と通院期間が交差する欄の金額になります。
たとえば、入院1ヶ月・通院1ヶ月の場合、弁護士基準によると、他覚所見がないムチウチや軽い打撲・キズの場合は52万円、それ以外のケガの場合は77万円になります。

詳しくは傷害慰謝料のページをご覧ください

後遺症慰謝料

後遺症が残ったことをおわびするためのお金(後遺症慰謝料)の弁護士基準は、次の表のとおりです。
後遺障害等級によって金額が決められています。

等級別の後遺症慰謝料表

詳しくは後遺障害慰謝料のページをご覧ください

死亡慰謝料

死亡させたことをおわびするためのお金(死亡慰謝料)の弁護士基準は、次のとおりです。
亡くなられた方の家庭内でのお立場によって金額が決められています。

  • 家族の生活費の大部分を稼いでいた
    2800万円
  • 家事や子育てをしていた親
    2500万円
  • 父母や兄弟に仕送りなどをしていた
    2500万円
  • 独身者・子供・高齢者など
    2000~2500万円

詳しくは死亡慰謝料のページをご覧ください

慰謝料のほかに請求できるもの

「交通事故では慰謝料のほかに請求できるものがあるの?」

交通事故の被害者には、精神的な負担だけではなく、経済的な負担や損失も生じます。
経済的な負担や損失は、慰謝料とは別に請求をする必要があります。

たとえば、病院にかかる治療費はもちろん、ケガの治療のために仕事ができずに減った収入(休業損害)や、後遺症が残ったために稼ぎにくくなったお金(後遺症逸失利益)などがあります。

このような交通事故で加害者に請求できるお金をまとめて「賠償金」といいます。
慰謝料は賠償金の中の一つです。

賠償金の種類

慰謝料と同様、慰謝料のほかに請求できるものについても弁護士基準で計算し、保険会社と金額について話し合いましょう。

休業損害

休業損害とは、事故のケガのために仕事を休んで収入が減ったお金のことです。

交通事故でケガをすると、治療や安静のために仕事を休まなければならないことがあります。
そのために収入が減ってしまったときには、その減収分のお金を休業損害として保険会社に請求できます。

休業損害の弁護士基準は、次のとおりです。

1日あたりの収入額×仕事を休んだ日数

ちなみに、自賠責基準では、1日あたり原則6100円です。

職業ごとに計算方法が異なることがあります。
また、主婦などの家事従事者も休業損害を請求できます。

詳しくは休業損害のページをご覧ください

通院交通費

被害者が病院に通うための交通費です。

通院交通費の弁護士基準は、次のとおりです。

自家用車を利用した距離1kmあたり15円+電車・バス代やタクシー代などの実費

詳しくは通院交通費のページをご覧ください

入院雑費

入院した場合、入院中の日用品の購入費、栄養剤購入費、電話代、テレビ賃借料、家族交通費など細かな出費が多くあります。

これらの入院雑費の弁護士基準は、次のとおりです。

入院1日あたり定額1500円

ちなみに、自賠責基準では、1日あたり1100円です。

詳しくは入院雑費のページをご覧ください

後遺症逸失利益

後遺症逸失利益(こういしょう いっしつりえき)とは、後遺症が仕事に影響して稼ぎにくくなったお金のことです。

ケガが完治せずに後遺症が残った場合、将来にわたって後遺症が仕事に影響し、お金を稼ぎにくくなることが考えられます。
そのような稼ぎにくくなったお金を後遺症逸失利益として保険会社に請求できます。

後遺症逸失利益の弁護士基準は、次のとおりです。

年収×後遺症によって稼ぎにくくなった割合×後遺症によって稼ぎにくくなった年数のライプニッツ係数

詳しくは後遺症逸失利益のページをご覧ください

将来の介護費用

将来の介護費用とは、重度の後遺症があるために将来にわたって必要となる介護の費用です。

将来の介護費用の弁護士基準は、次のとおりです。

1年あたりの介護費用×平均余命年数のライプニッツ係数

詳しくは将来の介護費用のページをご覧ください

死亡逸失利益

死亡逸失利益とは、亡くなったことによって稼げなくなったお金(稼働分)と受け取れなくなった年金(年金分)のことです。

交通事故の被害者が亡くなられた場合、その方が将来にわたって稼ぐはずであったお金や受け取るはずであった年金を死亡逸失利益として保険会社に請求できます。

死亡逸失利益の弁護士基準は、次のとおりです。

<稼働分>
年収×(100%-生きていたら必要な生活費の割合)×生きていたら働いたであろう年数のライプニッツ係数

<年金分>
年金額×(100%-生きていたら必要な生活費の割合)×平均余命年数のライプニッツ係数

詳しくは死亡逸失利益のページをご覧ください

葬儀費用

葬儀業者に支払った費用、火葬・埋葬料、葬儀広告代、花代、弔問客に提供する食事代、お布施・読経・戒名・法名代、墓地・墓石費用、仏壇・位牌購入費用、49日までの法要代などを葬儀費用として、保険会社に請求できます。

葬儀費用の弁護士基準は、次のとおりです。

実際に支払った金額。ただし、一般的には上限150万円。

詳しくは葬儀費用のページをご覧ください

治療費

事故によるケガの治療のために必要な治療費を保険会社に請求できます。
保険会社から病院に直接支払われることが多いです。

詳しくは治療費のページをご覧ください

入通院付き添い費

入通院付き添い費とは、近親者の付き添いの負担を金銭換算したものです。

交通事故の被害者が幼少である場合やケガが重い場合、入通院にあたって近親者の付き添いが必要になります。
そのような場合には、近親者の負担を金銭換算し、そのお金を入通院付き添い費として保険会社に請求できます。

入通院付き添い費の弁護士基準は、次のとおりです。

入院中の付添回数×6500円+通院中の付添回数×3300円

詳しくは入通院付き添い費のページをご覧ください

その他の費用

交通事故に遭われたために出費を余儀なくされるものは、上記のほかにも様々なものが考えられます。
たとえば、装具・器具購入費、宿泊費、通院以外の交通費、教育関係費、旅行のキャンセル代、ペットを預ける費用などです。
このような出費があった場合、その他の費用として保険会社に請求することが考えられます。

詳しくはその他の費用のページをご覧ください

物損の慰謝料

交通事故で車が破損した場合のように、物を壊したことに対するおわびのお金(物損の慰謝料)を請求することは原則としてできません
なぜなら、ケガや死亡の場合と異なり、物損の場合は修理代や買換費用などで経済的な損失を回復すれば十分と一般的に考えられているからです。

詳しくは物損のページをご覧ください

過失割合による減額(被害者の落ち度)

「保険会社の担当者に『あなたの過失割合は●%です』と言われたけど、納得がいかない」
「自分に過失割合があると賠償金の計算にどのような影響があるの?」

過失割合とは、交通事故発生についての加害者と被害者の落ち度の割合です。
加害者と被害者のそれぞれの落ち度について合計を100%として●%:●%という比で表します。

そして、被害者の過失割合の分は賠償金から減額されます。このことを過失相殺(かしつそうさい)といいます。

たとえば、治療費20万円、慰謝料50万円、休業損害30万円、被害者自身の事故発生の落ち度が20%の場合、保険会社に請求できる金額は(20万円+50万円+30万円)×80%=80万円ということになります。

この過失割合を巡って、保険会社と意見が対立するケースも非常に多くあります。
保険会社の意見が正しいとは限りませんので、このサイトで過失割合を調べたり、弁護士に相談したりしてください。

ご自身の事故の過失割合を調べたい方はこちら

このページの執筆者
弁護士 深田茂人(大分県弁護士会所属、登録番号33161)
大分市城崎町の深田法律事務所代表。
弁護士歴15年、交通事故の相談を800件以上担当してきました。交通事故被害者と保険会社の情報格差をなくしたいと思い、当サイトにて執筆しています。