2021.04.09 更新

入通院付添費(近親者が被害者の入通院に付き添った場合)

歩行者を補助する人

入通院付添費とは、食事、着替え、歩行などのお世話のために近親者の付き添いが必要であった場合の近親者の負担をお金に換算したものです。

入通院付添費を請求できるケース請求できる金額について、解説します。

入通院付添費を請求できるケース

以下のいずれかにあたり、近親者が実際に患者の世話をしている場合、入通院付添費が請求できることが多いです。

  • 被害者の年齢が12歳以下
  • 多数の箇所を骨折した
  • 脳または脊髄を損傷した
  • 医師が付き添いの指示をした

現在は病院では看護師による十分な看護が受けられるとして、近親者の付添費を認めない裁判例もあります(仙台高等裁判所平成24年12月27日判決)。

しかし、他人である看護師ではどうしても行き届かない、近親者だからできる世話もあると考えられ、多くの裁判例では、上記のような場合には、入通院付添費の支払いを認めています。

以下、詳しく解説します。

被害者の年齢が12歳以下

幼児や児童は、心身が未熟なことから、たとえ軽傷であったとしても、入通院にあたっては、親などの近親者の付き添いが必要と考えられます。
そのため、被害者が概ね12歳以下の場合には、近親者の付添費の請求が認められています。

多数の箇所を骨折した

両腕の骨折など、1カ所のみの骨折よりも、多数の箇所を骨折した場合は、身の回りの動作をすることが格段に困難になるといえます。
そのような場合には、看護師だけではなく、近親者による身の回りの世話が必要と考えられるので、付添費の請求が認められることが多いです。

なお、一カ所のみの骨折であっても、骨折した足を吊っていたり、固定してけん引している期間の付き添いなどについては、近親者の付添費の請求が認められることがあります。

脳または脊髄を損傷した

脳または脊髄の重篤な損傷では、容態の変化の見守り、意識覚醒のための声かけ、その他の身の回りの世話を近親者が行っているケースがあります。

そのようなケースは、看護師よりも近親者の方がより行き届いた介助ができることもありますし、また、患者の精神面にも良い影響を与えると考えられるため、付添費の請求が認められることが多いです。

医師が付き添いの指示をした

医師が近親者の付き添いの指示をした場合、入通院の付添費の請求が認められることが多いです。

もっとも、入院中の付き添いについては、現在では看護師によって十分な看護を受けられることが一般的なため、医師が付き添いを指示することはあまりありません。

その他

危篤状態など、近親者が病院で待機するのが当然というような場合には、被害者の身の回りの世話などをしていなくても、待機中の付添費を認めている裁判例もあります。

入通院付添費の金額

弁護士基準では、以下の金額で計算されることが多いです。
弁護士基準について詳しくはこちら

  • 入院の場合
    入院付き添い1日あたり6500円
  • 通院の場合
    通院付き添い1日あたり3300円

上記1日あたりの金額に、それぞれ、入院で付き添った日数、通院で付き添った日数をかけ算して計算します。

付き添った日数については、カルテや看護記録の記載、病院の駐車場の領収書などで証明します。なお、いつどのような世話が必要であったかを逐一メモにとっておくと、あとで有効な証拠になります。

金額が増減する個別の事情

上記の弁護士基準による金額は、個別の事情によっては増減する可能性があります。

増減する可能性のある主な個別の事情は、以下のとおりです。

増額する可能性のある主な個別の事情

  • 被害者がより年少である場合
  • 被害者の状態が重篤であり、身の回りの世話などの負担が大きい場合

減額する可能性のある主な個別の事情

  • 本人が独力でできることが多く、部分的な手伝いで十分な場合
  • 本人の症状が軽快し、負担が軽くなった期間がある場合(世話をする必要がなくなった期間については付添費を請求できない可能性があります)
  • 看護師ら職員による看護によって負担が軽かったといえる場合

付添した人が仕事を休んだ場合(休業損害、休業補償)

近親者が仕事を休んで付き添いをした場合、仕事を休んで収入が減った分(休業損害または休業補償)の請求ができるかが問題となります。

一般的には、上記の計算の範囲内の金額に限られることが多いです。

なぜなら、現在の病院では看護師による十分な看護がなされており、その補助としての近親者の世話については、その人の収入額をもとに計算をするわけにはいかないと考えられるからです。

もっとも、被害者が幼少で、ケガが重く、他に付き添える人がいないような場合には、収入額をもとに計算できる可能性があります。

このページの執筆者
弁護士 深田茂人(大分県弁護士会所属、登録番号33161)
大分市城崎町の深田法律事務所代表。
弁護士歴15年、交通事故の相談を800件以上担当してきました。交通事故被害者と保険会社の情報格差をなくしたいと思い、当サイトにて執筆しています。