2021.07.27 更新

交通事故の過失割合

以下の質問に回答していくと、下図の(例)のように過失割合を調べることができます。
表示される数値(%)は、各種法律文献を参考にして検討されたものです。

過失割合の例

弁護士
まず、あてはまる事故をクリックしてください

・過去に当サイトで過失割合を調べたことがある場合

過失割合事例Noが含まれているものをクリックしてください。

【No1-185】歩行者と車の事故
【No210-342】自転車と車の事故
【No470-637】単車と四輪自動車の事故
【No730-895】四輪自動車同士または単車同士の事故

*今後、事例が追加される可能性があるため、欠番を設けています。

過失割合とは

交通事故は人の落ち度(過失)によって起こります。
加害者だけに落ち度がある場合もあれば、加害者と被害者の双方に落ち度がある場合もあります。

このような加害者と被害者の落ち度の大きさを「●%:●%」というように数値で表したものを過失割合といいます。
双方のパーセンテージを合計して100%になるようにします。

たとえば、加害者だけに落ち度がある場合の過失割合は「加害者:被害者=100%:0%」です。
加害者の落ち度が被害者の落ち度の4倍である場合は「加害者:被害者=80%:20%」です。

賠償金額に与える影響

交通事故により被害者には様々な損失があります。治療費はかかりますし、仕事を休めば収入が減ります。また、精神的な苦痛もあります。
被害者は、このような損失分のお金(治療費・休業損害・慰謝料などの賠償金)を加害者に請求することになります。

ただし、被害者は自身の過失割合の分については、加害者に請求することができません

たとえば、被害者の損失が全額で1000万円で、過失割合が「加害者:被害者=80%:20%」の場合、被害者が加害者に請求できる金額は、1000万円×80%=800万円となります。

過失割合の参考文献

当サイトで表示される過失割合の数値(%)は、以下の各種法律文献を参考にして検討されたものです。

「別冊 判例タイムズ38 民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準 全訂5版」(東京地裁民事交通訴訟研究会編 判例タイムズ社)
「赤い本 弁護士必携 民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準 上巻(基準編)2021年(令和3年)版」(日弁連交通事故相談センター東京支部)
「実務裁判例 交通事故における過失割合 自動車事故及び消滅時効、評価損等の諸問題 第2版」(伊藤秀城著 日本加除出版)
「実務裁判例 交通事故における過失相殺率 自転車・駐車場事故を中心にして 第2版」(伊藤秀城著 日本加除出版)
「交通事故損害賠償データファイル 2巻」(交通事故損害賠償研究会編集 新日本法規)
「交通事故損害賠償データファイル 3巻」(交通事故損害賠償研究会編集 新日本法規)
「交通事故の過失割合<早見表>」(林洋編 技術書院)
「注解 交通損害賠償算定基準 実務上の争点と理論 下 過失相殺・寄与度編 三訂版」(損害賠償算定基準研究会編 ぎょうせい)
「交通事故『過失割合』の研究 交通事故工学の視点から『過失割合認定基準』の問題点を衝く 新訂版」(林洋 技術書院)
「交通事故過失割合の研究」(藤村和夫編 日本評論社)
「執務資料 道路交通法解説 17訂版」(道路交通執務研究会編著 野下文夫原著 東京法令出版)
「注解 道路交通法 第4版」(道路交通法研究会編著 立花書房)
「新実務道路交通法」(小川賢一著 立花書房)
「図解 道路交通法 4訂版」(道路交通法実務研究会編 東京法令出版)
「普及版 道路交通法 図解・注解付 第27版」
D1-Law.com 第一法規法情報総合データベース

過失割合の基準化

全国で多発する交通事故案件の中には、事故態様が同種のものがあります。
そして、事故態様が同種の事故の過失割合が担当の裁判官によってあまりに大きく異なると、裁判所の信頼が失われてしまいかねません。

そのため、東京地方裁判所の交通事故専門部の裁判官によって、典型的な事故態様ごとに基準となる過失割合が「別冊 判例タイムズ38 民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準 全訂5版」(東京地裁民事交通訴訟研究会編 判例タイムズ社)という書籍によって公表されています。

もっとも、実際に発生する事故は典型的な事故態様と全く同じとは限りません。
むしろ、道路状況、規制状況、当事者の動き、天候などについて細かく検討すれば、全く同じ事故は存在しないともいえます。

そのため、実際の裁判や交渉の場面では、上記の書籍の基準を目安にしつつ、個別の事情を考慮して、それぞれの事故の過失割合が決定されています。
その際には、上記以外の書籍や過去の具体的な裁判例も参考にされることがあります。

「別冊 判例タイムズ38 民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準 全訂5版」(東京地裁民事交通訴訟研究会編 判例タイムズ社)1頁
「一般的な民事交通訴訟については、大量の同種事案を公平・迅速に処理するため、古くから賠償額や過失相殺率に関する基準化が図られてきたことから、争点に関する裁判所及び当事者の認識は、相当程度共通化されており、おおむね1年以内での紛争の解決が図られている。」

交通弱者が被害者であることが前提

このように、交通事故の過失割合は、典型的な事故態様ごとに基準となる過失割合が公表されています。
ただし、注意を要するのは、このような基準化された過失割合は、交通弱者が被害者である事故を前提としているということです。

たとえば、歩行者が道路を横断中に車と衝突した事故の過失割合が、基準によると、歩行者:車=20%:80%であるとしましょう。

この場合、交通弱者である歩行者が被害者であることを前提に、その治療費や慰謝料などを車側に請求する金額の計算には、上記の過失割合を使うことができます。具体的には、歩行者の治療費や慰謝料などの総額が1000万円とした場合、1000万円×80%=800万円を歩行者は請求することになります。

しかし、上記の事故において急ブレーキで足首を痛めた運転手が、その治療費や慰謝料などを請求する金額の計算には、上記の過失割合を使うことができません。具体的には、運転手の治療費や慰謝料などの総額が300万円とした場合、300万円×20%=60万円を運転手が歩行者に請求できるとは限りません。

このように、基準化された過失割合は、交通弱者である歩行者が車の運転手に対して賠償金請求をする場合の計算には使えますが、交通弱者ではない車の運転手が歩行者に対して賠償金請求する場合の計算には使えません

その理由は2つあります。

1つ目の理由は、歩行者の過失割合が20%あるといっても、そもそも歩行者が賠償義務を負っているとは限らないということです。
賠償義務は過失によって他人の身体や財物を害した場合に負いますが、その「過失」と過失割合の「過失」は別物と考えられています。前者の「過失」は他人を害さないための法的な注意義務ですが、後者の「過失」は損害の公平な分担をはかるための被害者側の不注意であって、両者は異なるものです。損害の公平な分担をはかるための被害者側の不注意が20%とされても、他人を害さないための法的な注意義務を怠ったといえなければ、歩行者が賠償義務を負うことはありません。

2つ目の理由は、過失割合の基準には、公平を害さない範囲で、交通弱者をできるだけ救済するという価値判断が含まれているということです。
歩行者と車の事故では通常被害を受けるのは、交通弱者である歩行者です。そのため、その過失割合の基準は、歩行者が被害者として賠償請求をする場面を想定して決められており、車側が被害を受けた場面を想定したものではありません。

そのため、車が歩行者に賠償請求をするにあたっては、

  • そもそも歩行者が賠償義務を負うのか
  • 歩行者が賠償義務を負う場合、その過失割合は別途検討する

という手順をとらなければなりません。

このように、歩行者と車の事故の過失割合の基準は、交通弱者である歩行者が被害者であることを前提としたものです。
車側が被害者であるとして歩行者に賠償請求する場面では、その過失割合の基準は使えないということになります。

同様に、

  • 自転車と車の事故の過失割合の基準は、交通弱者である自転車が被害者であることを前提としています。
  • 単車と四輪自動車の事故の過失割合の基準は、交通弱者である単車が被害者であることを前提としています。

もっとも、

  • 四輪自動車同士の事故の過失割合の基準は、いずれの四輪自動車が被害者であっても使えます。
  • 単車同士の事故の過失割合の基準は、いずれの単車が被害者であっても使えます。

そこで、専門的には、交通強者の過失割合(%)は表示せず、交通弱者の過失割合(%)のみを表示されることも多くあります。
もっとも、保険会社とのやりとりでは両者の過失割合(%)を示して表現されることがありますので、当サイトでもそのように表記しています。

このページの執筆者
弁護士 深田茂人(大分県弁護士会所属、登録番号33161)
大分市城崎町の深田法律事務所代表。
弁護士歴15年、交通事故の相談を800件以上担当してきました。交通事故被害者と保険会社の情報格差をなくしたいと思い、当サイトにて執筆しています。