大分市城崎町の深田法律事務所代表。
交通事故被害者が損をしないための情報を手軽に得られるように、「交通事故お役立ち手帳」のWEBサイトを運営・執筆したり、YouTubeチャンネルで情報発信したりしてます。全国の交通事故に詳しい弁護士とともに、無料相談にも対応してます。弁護士歴19年、交通事故相談担当1000件以上、大分県弁護士会所属(登録No33161)。
交通事故の過失割合は誰が決める?
更新日:2025年01月14日
「あなたの過失割合は●%です」
交通事故に遭うと、このように、相手方の保険会社から、過失割合を一方的に告げられることがよくあります。
「相手方の保険会社は、相手方の味方をしてるんじゃないの?」
「そもそも、過失割合は保険会社が決めるものなの?」
このような疑問が頭をよぎるけれど、どうしたらいいか分からない・・・
そのような疑問に弁護士がお答えします。
当事者が話し合って決めるべき
本来、争いごとは、当事者が話し合って解決すべきものです。
それは、交通事故でも変わりありません。
ですから、事故の当事者が、話し合って、過失割合を決めたのであれば、それでよい(つまり、それで決定)ということになります。
ただし、相手方の保険会社の担当者が出てきた場合、あなたは、その担当者と話し合いをしなければなりません。
とはいえ、保険会社の担当者は、相手方に代わって、あなたと話し合いをしているにすぎず、過失割合を一方的に決める権限などは持っていません。
あなたは、保険会社の担当者に、自分の考えを述べ、双方の過失割合はいくらが妥当かを話し合って決めることができます。
なお、話し合いをするのが難しいと思う場合、弁護士に依頼をして、自分に代わって話し合いをしてもらうこともできます。
過失割合の目安は公表されています
ただ、話し合いで決めるといっても、
「このような事故の場合の過失割合は、大体こんなところだ」
というような目安が全く無いとなると、お互いが自分の有利なように言い合うばかりで、話し合いがまとまらないことがほとんど、ということにもなりかねません。
そこで、法律文献で、典型的な事故類型ごとに、目安となる過失割合が公表されています。
保険会社は、そのような法律文献を持っています。
それに対し、あなたは持っていないというのでは、不利になってしまうおそれがあります。
なぜなら、法律文献には、さまざまな事情によって過失割合が変わりうることが記載されているのですが、保険会社は、顧客である相手方に有利な事情だけを拾って、過失割合を告げてくることがよくあるからです(あなたに有利な事情が無視されるおそれがあるということです)。
このサイトでは、法律文献を参考に弁護士が検討した過失割合を調べることができます。
ぜひ参考にしてみてください。
話し合いがまとまらない場合は裁判
どうしても話し合いがまとまらない場合、そのままにしておくと、いつまでたっても解決できません。
そのため、裁判をして裁判官に決めてもらう、ということになります。
裁判では、以下の順序で、過失割合を決めます。
- 当事者がそれぞれ、どのような事故であったのかを主張します。
- 裁判官が、当事者の主張の食い違っている点を把握します。
- 警察官が作成した実況見分調書、ドライブレコーダー、目撃者などの証拠をもとにして、どのような事故であったかを裁判官が判断します。
- 裁判官が、自身が判断した事故の状況をもとに、過失割合の目安が記載された法律文献を参考にして、過失割合を決めます。
話し合いでまとめた方がよいのか、それとも、裁判をした方がよいのかについては、弁護士に相談することをお勧めします。
弁護士に、実況見分調書などの証拠を取り寄せてもらい、法律文献をもとに、裁判の結果を予想してもらいましょう。
過失割合は警察が決めるものではありません
「過失割合は警察が決めてくれるんじゃないの?」
そのように思っている方もいらっしゃると思います。
しかし、警察が過失割合を決めることはありません。
確かに、警察は、どのような事故であったのかを、事故現場などで当事者や目撃者から聴き取ったり、ドライブレコーダーなどで調べたりします。
しかし、このような警察の活動の目的は、加害者の運転が犯罪となって、刑罰(刑務所や罰金など)を科す必要があるかを判断するためです。
過失割合は、刑罰とは関係がなく、被害者が加害者に請求できる賠償金額に影響するものです。
(たとえば、治療費や慰謝料などの損害総額が100万円で、加害者の過失割合が90%の場合、被害者が加害者に請求できる金額は、100万円×90%=90万円となります。)
警察は、このような当事者間のお金のやりとりに関わる過失割合には関与しません(「民事不介入」の一場面といえます)。
とはいえ、警察は、事故の状況を実況見分調書などでまとめてくれます。
そこで、当事者としては、それらを証拠として事故の状況を判断し、法律文献を参考にしながら、話し合ったり、裁判をしたりして、具体的な過失割合の数値を決める必要があります。
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