交通事故のムチウチ|12級や14級認定のポイントともらえる金額

更新日:2023年07月06日

執筆者:弁護士 深田 茂人

交通事故被害者が損をしないための情報を手軽に得られるように、「交通事故お役立ち手帳」サイトを運営・執筆しています。そのコンセプトに賛同する全国の交通事故に詳しい弁護士とともに、無料相談にも対応しています。弁護士歴18年、交通事故相談担当1000件以上、大分県弁護士会所属(登録No33161)。

執筆者プロフィール

相談者(困り顔)
交通事故でムチウチになったら、もらえる金額はいくらですか?
弁護士
後遺障害の等級が認定されるかで、金額は大きく変わります

このページでは、

  • ムチウチで等級が認定されるポイント
  • 「後遺症なしのケース」と「等級が認定されたケース」でもらえる金額

について、わかりやすく解説します。

後遺症の程度と等級

ムチウチとは、首や腰に不自然な力がかかったことによる首や腰の捻挫です。

衝撃を受けたときにムチがしなるように首や腰が動くのでムチウチといわれています。

ムチウチ

以下のように、後遺症の程度によって等級が認定されます。

12級
痛み・しびれが残ることを立証する各種検査の結果がある
14級
痛み・しびれが残ることを医師の診察やケガをした状況などによって説明できる
等級非該当
痛み・しびれが残ることを医師の診察やケガをした状況などにより説明することが難しい
非典型後遺症
上記等級にあてはまらない重い症状がある

12級が認定されるためには痛みやしびれの原因が検査などで証明できなければなりません。

14級が認定されるポイント

まず、ムチウチで14級が認定されるポイントについて解説します。

本来、後遺障害の等級認定を受けるためには、後遺症を裏付ける検査結果が必要です。

たとえば、骨折のケースで、骨がくっつかず、そのために痛みの後遺症が残ったという場合、骨がくっついていない状態を捉えたレントゲンやCTの検査結果があれば、痛みの後遺症が裏付けられて、後遺障害の等級が認定されます。

足首の骨が欠けたCT画像

しかし、ムチウチの場合は、現在の医療水準だと、検査によって後遺症を裏付けるということが難しいんです。

一応、最も有効と考えられる検査としてはMRIがあります。

MRIで首や腰に椎間板のヘルニアが生じていないかを検査して、手や足のしびれの原因を裏付けようとするんですね。

でも、仮にMRIでヘルニアを撮影できたとしても、事故が原因なのか分からないことがほとんどです。

なぜなら、事故がなくてもヘルニアになっている人は大勢いるからです。

MRI

そのため、骨折などのケースと違い、ムチウチは、現在の医療水準では、検査によって後遺症を裏付けることが難しいんです。

では、どうやって後遺障害が認定されるのかというと、レントゲンやCTなどの直接的な証拠がないので、状況証拠で判断するほかないとされています

ムチウチの後遺症を裏付ける状況証拠というのは、具体的には、

  • 症状の内容
  • 事故の大きさ
  • 通院の期間と回数
  • 病院での検査結果

です。

これらを総合的に考慮して14級を認定するか決めることとされているんです。

後遺症の内容

まず、「症状の内容」ですが、症状としてあまり重くないものは、14級が認定されません。

後遺症というほど長期間にわたって症状が残ることはないだろうと考えられるからです。

首や腰の痛みに比べると、手や足の痺れは治りが悪いため、14級が認定されやすい傾向があります。

また、症状がころころと変化している場合も後遺症として認められないことが多いです。

たとえば、最初は痺れるのが右手だったのに、途中から左手に変わったような場合ですね。

症状の経過として不自然じゃないかということで14級が認定されづらくなります。

事故の大きさ

次に、「事故の大きさ」ですが、修理代が高いような大きな事故であるほど、14級認定の可能性は高くなります。

それだけ、衝撃が大きくてケガも重いだろうと考えられるからです。

通院の期間と回数

それから、「通院の期間と回数」ですね。

これらが少ないと、後遺症が残るほどの重いケガじゃなかったんだろうということで、14級は認定されづらいです。

また、病院ではなく整骨院への通院が多いケースも、14級が認定されない可能性が高くなります。

なぜなら、整骨院よりも病院に多く通っている方が重いケガと考えられるからです。

病院の検査結果

あと、やはり大事なのが、病院での検査結果です。

さきほど、現在の医療水準では、ムチウチの後遺症を検査で裏付けることは難しいと述べましたが、だからといって、検査しなくていいとか、検査で何も分からないというわけではありません。

少なくともそのような検査をするくらい重いケガだったんだな、ということになりますし、たとえばMRIで椎間板のヘルニアが見つかり、それが患者の訴える痺れの原因になりうるというのであれば、重要な状況証拠の1つとなります。

このように、

  • 症状の内容
  • 事故の大きさ
  • 通院の期間と回数
  • 病院での検査結果

の状況証拠が総合的に考慮されて14級が認定されるか決められます。

12級が認定されるケース

なお、ムチウチの後遺症を裏付ける検査結果があれば、12級が認定されます。

しかし、現在の医療水準では、そのような検査結果が得られることは稀ですから、認定されるとしても14級であることがほとんどです。

ムチウチでもらえる金額

次に、交通事故でムチウチになった場合にもらえる金額ですが、保険会社は必ずと言っていいほど、低い金額でまとめようとしてきます。

その方が、保険会社の利益になるからですね。

そこで、被害者側としては、裁判所が目安にしている金額で、保険会社と交渉することが重要なんです。

弁護士基準と任意保険基準

どういうことかといいますと、裁判所は、「このような事故の場合、金額はいくらくらい」という目安をもっています。

この目安のことを弁護士基準といいます。

弁護士基準の金額は、保険会社が言ってくる金額よりも高く、2倍以上になることもよくあるんです。

そこで、保険会社に対して、「おたくの言う金額より、裁判所が使う弁護士基準の方が公正ですよね」と交渉することで、大幅に増額するというわけです。

実際の金額について、後遺症なしのケースと14級が認定されたケースをご紹介します。

後遺症なしでもらえる金額

まず、後遺症なしのケースですが、

たとえば、通院期間3カ月、通院回数30回の場合

保険会社は、

ケガの慰謝料を40万円

くらいで提示してくることが多いです。

しかし、弁護士基準だと、

ケガの慰謝料は53万円です。

13万円の差がありますね。

14級でもらえる金額

次に、後遺障害の14級が認定されたケースですが、

たとえば、通院期間6カ月、通院回数100回、年収500万円の会社員の場合

保険会社は、

ケガの慰謝料を65万円
後遺症の慰謝料を40万円
後遺症の逸失利益を48万円

合計153万円くらいで提示してくることが多いです。

しかし、弁護士基準だと、

ケガの慰謝料が89万円
後遺症の慰謝料が110万円
後遺症の逸失利益が114万円

合計313万円です。

差は2倍以上の160万円ですね。

後遺障害の14級が認定されると、ケガの慰謝料だけでなく、後遺症の慰謝料ももらえるようになります。

また、後遺症の逸失利益という、後遺症が仕事に影響して稼ぎにくくなったお金ももらえるんですね。

このように、後遺症なしのケースも、14級が認定されるケースも、どちらであっても、保険会社が提示する金額はとても低いということがほとんどです。

また、14級が認定されると金額が跳ね上がります。

つまり、大事なのは、

  • 弁護士基準で金額交渉をすること
  • 14級が認定されると金額が跳ね上がること

です。

ムチウチで等級の認定を受けるのは難しいんじゃないかと言って、等級の申請をしない方がおられます。

しかし、ムチウチであっても、等級の認定を受けた方は多くおられます。

よくないのは、後遺症に苦しんでいて、認定を受けられるケースなのに、あきらめてしまうことです。

この記事を参考にして、等級の申請をするかよくお考えいただければ幸いです。

また、こちらからムチウチの等級認定に詳しい弁護士に無料で相談することもできます。

どうかお身体を大事にされてください。

このページの執筆者
弁護士 深田茂人

弁護士 深田茂人
大分県弁護士会所属
登録番号33161

大分市城崎町の深田法律事務所代表。
弁護士歴18年、交通事故の相談を1000件以上担当してきました。交通事故被害者と保険会社の情報格差をなくしたいと思い、当サイトにて執筆しています。

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