2021.11.18 更新

高次脳機能障害(こうじのうきのうしょうがい)の後遺障害等級

交通事故で高次脳機能障害の後遺症が残った場合に認定される後遺障害等級について解説します。
高次脳機能障害とは、脳の損傷が原因で、脳の機能のうち言語・記憶・注意・情緒などの認知機能に生じる障害のことです。忘れやすくなる、注意が散漫になる、怒りっぽくなる、段取りが悪くなるなどの症状があります。

後遺症の程度と等級

高次脳機能障害が生じる原因である脳の損傷を病院の検査によって証明できる場合、後遺症の程度によって等級が認定されます。

1級(別表第一)
家族が誰か分からない男性高度の痴呆があるために食事等の身の回り動作に全面的介護を要する
2級(別表第一)
家を中にいる男性著しい判断力の低下や情緒不安定などのため、1人で外出することができず、食事等の身の回り動作に声かけや見守りを欠かすことができない
3級
一人で外を歩いている男性記憶力・注意力・学習能力・対人能力などに著しい障害があって、就労はほぼ不可能
5級
紙を折る作業をする女性単純な繰り返し作業しかできない
7級
運搬中にミスをした男性簡単な仕事しかできない(作業の手順が悪い、約束を忘れる、ミスが多いなど)
9級
車の運転ができない男性一般的な仕事でもできないものがある
12級
仕事中に寝てしまった女性一般的な仕事はできるが、時には仕事に差し支える程度の障害がある
14級
デスクワークで困っている男性一般的な仕事はできるが、軽微な障害がある
等級非該当
上記等級ほどの重い症状は無い
非典型後遺症
上記等級にあてはまらない重い症状がある

等級が認定されるためには高次脳機能障害の原因が検査などで証明できなければなりません。

保険会社から等級が認定されるために必要なこと

後遺障害等級の認定を受けるためには、症状を訴えるだけでは足りず、「高次脳機能障害が生じている原因」と「高次脳機能障害の程度」を証明しなけれなりません。

高次脳機能障害が生じている原因を証明する

・画像による証明
高次脳機能障害は脳の損傷が原因で生じます。そこで、脳が傷ついた箇所や、その度合いを画像によって明らかにして、高次脳機能障害が生じている原因を証明します。具体的には、MRIなどの検査で脳を撮影し、それを証拠として保険会社や裁判所に提出します。

もっとも、MRIでは十分に映らない損傷もあるなど現在の医療機器の能力にも限界があるので、他の検査結果なども含めて総合的に証明していくことが必要とされています。

・「頭部外傷後(とうぶ がいしょう ご)の意識障害についての所見」による証明
高次脳機能障害が生じるケースでは事故直後に、意識が戻らなかったり、名前が言えなかったり、ぼーっとするなどの意識障害が生じることが多いとされています(ただし100%ではありません)。

そのため、JCS(ジャパンコーマスケール)やGCS(グラスゴーコーマスケール)という基準によって意識障害の程度を点数で表し、医師に「頭部外傷後の意識障害についての所見」を作成してもらって、事故直後の意識障害を証明します。

高次脳機能障害の程度を証明する

・病院での検査による証明
高次脳機能障害は言語・記憶・注意・情緒などの認知機能の障害ですが、認知機能には多種多様なものがあります。そのため、全国に存在する高次脳機能障害の支援拠点機関などの病院で専門の神経心理学的検査を受けることにより、認知機能の障害がどの程度重いのかを証明する必要があります。

・「日常生活状況報告」による証明
ご家族などの近親者や介護者などがご本人様の事故前と事故後の生活状況の違いを「日常生活状況報告」という書式に記入することにより、高次脳機能障害がどの程度重いのかを証明します。

このページの執筆者
弁護士 深田茂人(大分県弁護士会所属、登録番号33161)
大分市城崎町の深田法律事務所代表。
弁護士歴15年、交通事故の相談を800件以上担当してきました。交通事故被害者と保険会社の情報格差をなくしたいと思い、当サイトにて執筆しています。

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