【交通事故の後遺障害】等級が認定されるには|実例解説

更新日:2023年06月30日

執筆者:弁護士 深田 茂人

交通事故被害者が損をしないための情報を手軽に得られるように、「交通事故お役立ち手帳」サイトを運営・執筆しています。そのコンセプトに賛同する全国の交通事故に詳しい弁護士とともに、無料相談にも対応しています。弁護士歴18年、交通事故相談担当1000件以上、大分県弁護士会所属(登録No33161)。

執筆者プロフィール

このページでは、

後遺障害等級を正しく認定してもらう方法

について、分かりやすく解説します。

正しい等級が認定されない理由

後遺障害等級は1級から14級まであり、何級が認定されるかによって、受け取れる金額が大きく変わります。

にもかかわらず、正しい等級が認定されていないケースがよくあるんです。

なぜ、そのようなことがあるのかというと、後遺症を裏付ける検査を病院で受けていないからです。

CT

骨折の事例

実際、私がご相談を受けた案件でも、正しい等級が認定されていないケースを本当に多く見てきました。

一例を挙げますと、交通事故で足首を骨折して、手術を受けた男性がおられました。

手術の後、経過観察をして、その後にレントゲンを撮影したところ、骨がしっかりくっついているように見えました。

足首のレントゲン画像

そこで、お医者さんは「骨癒合良好」、つまり、骨はしっかりくっついていると後遺障害診断書に書いたんですね。

後遺障害診断書というのは、後遺症についてお医者さんが書く診断書です。

後遺障害等級は、この後遺障害診断書の記載をもとに認定されるんですね。

その診断書に、骨がしっかりくっついていると書かれたため、男性は後遺障害等級が認められませんでした。

つまり、男性は痛みを訴えているけれど、その原因が見当たらないと判断されたわけです。

そして、保険会社から提案された賠償金額は100万円でした。

男性は、足首の痛みが相当残っており、長時間立つことができなかったんです。そのために仕事を変えざるをえませんでした。

にもかかわらず、後遺障害等級が認められず、賠償金が100万円ということに納得いかず、うちの事務所にお越しになったんですね。

そして、ご依頼を受けまして、私は、事故直後の骨折の状態をレントゲンで確認しました。

かなり複雑に骨が折れていたため、手術の後でも完全に骨癒合しているのかが疑問に思われました。

そこで、お医者さんに会いに行き、レントゲンではなく、CTを撮ってほしいとお願いしました。

そして、CTを撮影してもらったら、足首の関節面の骨が欠けているのが見つかったんですね。

足首のCT画像

これにより、足首の痛みが残っている原因を検査で裏付けることができました。

この検査結果をもとに、裁判しまして、後遺障害の12級に変更され、賠償金は1474万円になったんですね。

このように、実は、レントゲンで見落とされるものが、CTで見つかるというのはよくあるんです。

なのに、病院では、手術をした後はレントゲンしか撮らないことが多いです。

それは、お医者さんがケガを治すことには熱心でも、治せなかったケガを明らかにすることには熱心でないため、と考えられます。

その結果、正しい等級が認定されないケースが本当によくあるので、注意が必要です。

このように、後遺症の原因を検査で裏付けることが、正しい等級認定のためには必要です。

高次脳機能障害の事例

また、後遺症の内容によっては、残った症状を確認するための検査が必要とされるケースもあります。

これも、私が担当した案件なんですが、交通事故で脳を損傷し、物忘れがひどくなるなどの高次脳機能障害という後遺症が残った女性がおられました。

後遺障害の12級が認定され、保険会社から賠償金として595万円を支払う提案を受けました。

それに、ご家族が納得できず、女性を連れて、うちの事務所にお越しになったんですね。

そこで、調査したところ、物忘れがひどくなるなどの高次脳機能障害の症状を検査で確認してもらっていないことが判明しました。

脳の機能というのは多岐にわたるので、それらの機能の低下がないかを確認する検査というのも、種類が多く、かつ、専門的です。

そのため、一般の脳外科では実施できないことが多いんですね。

そこで、高次脳機能障害の専門病院に同行しまして、そこで検査を受けていただきました。

専門病院で検査したところ、行動記憶検査・注意力検査・遂行機能検査での数値がかなり低くなっていることが明らかになりました。

その検査結果をもとに、等級の異議申し立てをしたところ、9級に変更され、賠償金は2322万円になりました。

このケースも、お医者さんはケガを治すことには一生懸命でも、治せなかったケガを裏付ける検査のための転院まではすすめていなかったわけです。

まとめ

まとめますと、後遺障害等級を正しく認定してもらうためには、後遺症の原因や症状を裏付ける検査を受けることが必要です。

しかし、お医者さんがそこまでの検査をしてくれていないということは、本当によくあります。

また、保険会社も必要な検査を教えてくれないことが多いです。

それは、担当者がそのような専門的な知識をもっていないということもありますが、そもそも保険会社は、高い等級が認定されると支払わなければならない金額が高くなるため、利害が対立しているからというのもあります。

そのため、正しい等級の認定を受けるための必要な検査については、そのような検査に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。

この「交通事故お役立ち手帳」のサイトでは、ご自身のお身体に残った症状についての質問に答えていくだけで、後遺障害等級が何級かを調べることができます

弁護士に無料相談もできますので、ぜひご活用ください。

このページの執筆者
弁護士 深田茂人

弁護士 深田茂人
大分県弁護士会所属
登録番号33161

大分市城崎町の深田法律事務所代表。
弁護士歴18年、交通事故の相談を1000件以上担当してきました。交通事故被害者と保険会社の情報格差をなくしたいと思い、当サイトにて執筆しています。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

このサイトは、交通事故被害者に不可欠な情報を提供しています。

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