既往症

更新日:2023年06月25日

執筆者:弁護士 深田 茂人

交通事故被害者が損をしないための情報を手軽に得られるように、「交通事故お役立ち手帳」サイトを運営・執筆しています。そのコンセプトに賛同する全国の交通事故に詳しい弁護士とともに、無料相談にも対応しています。弁護士歴18年、交通事故相談担当1000件以上、大分県弁護士会所属(登録No33161)。

執筆者プロフィール

既往症とは、交通事故による後遺症と同じ身体の部位に事故前から疾患があることをいいます。
相談者(困り顔)
交通事故に遭う前から疾患がありましたが、賠償金に影響がありますか?
弁護士
事故前の疾患が影響して、治療が長くなったり、症状が悪化したりしている場合は、その影響した分だけ賠償金額が下がる可能性があります。

既往症がある場合の後遺障害等級の認定基準

後遺障害等級は、後遺症の重症度を1級から14級の順に表したものであり、保険会社から通知されます。
自賠責保険金や賠償金がいくらになるかは、後遺障害等級によって大きく異なります。

しかし、既往症がある場合、その既往症を含めて、後遺障害等級を判断するわけにはいきません。
なぜなら、既往症は事故とは関係がないからです。

そこで、具体的には、以下の手順で後遺障害等級が認定され、自賠責保険金が支払われることになります。

  1. 事故前にあった既往症の後遺障害等級が何級にあたるかを判断する。
  2. 事故後に残っている後遺症の後遺障害等級を判断する。
  3. 上記2の等級の自賠責保険金額から上記1の等級の自賠責保険金額が差し引かれた金額が、本件事故の自賠責保険金として支払われる。

このようにして判断される後遺症を加重障害といいます。

このように、既往症のあるケースでは、後遺障害等級の判断を2回しなければなりません
その分、判断の難易度が高くなりますので、交通事故に詳しい弁護士に相談することをお勧めします。

賠償金を減額される可能性

事故前にすでにあった既往症が影響して、事故後の後遺症がより重くなったり、治療費がかさんだりした場合には、それらの分については加害者側に請求ができない可能性があります。

このように既往症が影響した分を賠償金から差し引くことを素因減額といいます(厳密には、素因減額と呼ばれる方法以外で減額することもありますが、いずれにせよ、既往症が影響した分を減額することに変わりはありません)。

どのような既往症の場合にどのくらい減額するかについては、基準といえるものはありません。

既往症の内容、事故によるケガや後遺症の内容、既往症と事故によるケガがそれぞれ与えた治療や仕事、生活への影響などを具体的に考慮して、減額について検討することになります。

非常に判断が難しいところですので、弁護士に相談することをお勧めします。

電卓を持つ弁護士
本サイトの慰謝料などの賠償金自動計算機では、既往症がある場合は個別の判断が特に必要なため、「要弁護士相談」としています。
このページの執筆者
弁護士 深田茂人

弁護士 深田茂人
大分県弁護士会所属
登録番号33161

大分市城崎町の深田法律事務所代表。
弁護士歴18年、交通事故の相談を1000件以上担当してきました。交通事故被害者と保険会社の情報格差をなくしたいと思い、当サイトにて執筆しています。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

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