2021.11.18 更新

股・ひざ・足首を動かしづらい後遺障害の等級

交通事故で股・ひざ・足首を動かしづらい後遺症が残った場合に認定される後遺障害等級について解説します。

後遺症の程度と等級

関節を動かしづらい

両脚の6関節

1級(別表第二)
両脚の股・ひざ・足首の6関節がほぼ動かない

片脚の3関節

5級
片方の股・ひざ・足首の3関節がほぼ動かない
8級
片方の股・ひざ・足首の3関節の動かせる範囲が2分の1以下
10級
片方の股・ひざ・足首の3関節の動かせる範囲が4分の3以下

片脚の2関節

6級
片方の股・ひざ・足首のうち2関節がほぼ動かない
11級
片方の股・ひざ・足首のうち2関節の動かせる範囲が4分の3以下

片脚の1関節

8級
片方の股・ひざ・足首のうち1関節がほぼ動かない
10級
片方の股・ひざ・足首のうち1関節の動かせる範囲が2分の1以下
12級
片方の股・ひざ・足首のうち1関節の動かせる範囲が4分の3以下

人工関節・人工骨頭

人工股関節
6級
片方の股・ひざ・足首のうち2関節に人工関節・人工骨頭を挿入しており、それらの関節の動かせる範囲が2分の1以下
8級
片方の股・ひざ・足首のうち1関節に人工関節・人工骨頭を挿入しており、その関節の動かせる範囲が2分の1以下
10級
片方の股・ひざ・足首のうち1関節に人工関節・人工骨頭を挿入したが、その関節の動かせる範囲が2分の1以下にはなっていない

硬性補装具

すねの硬性補装具
8級
片方の股・ひざ・足首のうち1関節が異常に曲がるために硬性補装具が常に必要
10級
片方の股・ひざ・足首のうち1関節が異常に曲がるために硬性補装具が時々必要
12級
片方の股・ひざ・足首のうち1関節が異常に曲がるために硬性補装具が重激な労働等に際してのみ必要

習慣性脱臼

12級
片方の股・ひざ・足首のうち1関節がたびたび脱臼をするようになった

上記共通

等級非該当
上記等級ほどの重い症状は無い
非典型後遺症
上記等級にあてはまらない重い症状がある

等級が認定されるためには股・ひざ・足首を動かしづらい原因が検査などで証明できなければなりません。

等級の詳しい解説

「股・ひざ・足首の全関節がほぼ動かない」(1級、5級)とは

股・ひざ・足首の全関節の全ての主要運動の可動域角度が10度以下、または、10%に相当する角度を5度単位で切り上げた角度以下の状態。

「関節がほぼ動かない」(1級と5級以外)とは

  1. 関節の全ての主要運動の可動域角度が10度以下、または、10%に相当する角度を5度単位で切り上げた角度以下
  2. 人工関節・人工骨頭を挿入した関節の1つの主要運動の可動域角度が1/2以下

のいずれかの状態。

「関節の動かせる範囲が2分の1以下」とは

  1. 関節の1つの主要運動の可動域角度が1/2以下
  2. 股関節の1つの主要運動の可動域角度が1/2を上回っていてもそれが10度以内であり、股関節の1つの参考運動の可動域角度が1/2以下
  3. 人工関節・人工骨頭を挿入した関節のどの主要運動も可動域角度が1/2以下に制限されていないも

のいずれかの状態。

「関節の動かせる範囲が4分の3以下」とは

  1. 関節の1つの主要運動の可動域角度が3/4以下
  2. 股関節の1つの主要運動の可動域角度が3/4を上回っていてもそれが5度以内であり、股関節の参考運動の可動域角度が3/4以下

のいずれかの状態。

主要運動

関節の様々な動作のうち日常生活において重要と考えられる動作を主要運動といいます。各関節の主要運動は以下のとおりです(括弧内の角度は一般人の平均的な可動域角度(参考可動域角度といいます))。

股の主要運動

股の主要運動は次の2つです。

  • 屈曲+伸展(参考可動域角度は140度)
  • 外転+内転(参考可動域角度は65度)

股の屈曲・伸展
股の外転・内転

ひざの主要運動

屈曲+伸展(参考可動域角度は130度)
ひざの屈曲・伸展

足首の主要運動

屈曲+伸展(参考可動域角度は65度)
足首の屈曲・伸展

参考運動

主要運動以外の動作を参考運動といいます。
各関節の参考運動は以下のとおりです(括弧内の角度は一般人の平均的な可動域角度(参考可動域角度といいます))。

股の参考運動

外旋+内旋(参考可動域角度は90度)
股の外旋・内旋

ひざ・足首の参考運動

参考運動はありません。

「10%」「1/4以下」「1/2以下」「3/4以下」とは

反対側の関節の可動域角度の「10%」「1/4以下」「1/2以下」「3/4以下」という意味です。たとえば片方の股が動かしづらい後遺障害の場合は、左の股の同じ動きと比較してどの程度動かしづらいのかによって等級が決められることになります。
もっとも、反対側の関節にも後遺障害がある場合には、一般人の関節の平均的な可動域角度(参考可動域角度)と比較します。

硬性補装具とは

硬性補装具とは、サポーターのような布製の補装具ではなく、金属やプラスチックの支柱が入った補装具のことです。

等級が認定されるために必要なこと

後遺障害等級の認定を受けるためには、症状を訴えるだけでは足りず、関節の動かしづらい原因と程度を証明しなければなりません。

関節の動かしづらい原因を証明する方法

関節が動かしづらい後遺症の後遺障害等級を認定してもらうためには、その関節の動かしづらい原因を証明する必要があります。
そのため、ケースに応じて、たとえば、骨折後に関節の骨がわずかに欠けていることをCTによって証明したり(レントゲンでは映らないことが多くあります)、MRIや神経伝導速度検査によって神経の損傷を証明したりする必要があります。

関節の動かしづらい程度を証明する方法

関節の動かしづらい程度を証明するには、医師に関節の可動域角度を計測してもらう必要があります。
そして、等級の認定は、医師が力を加えて動いた関節の角度(他動値)によるのが原則です。
もっとも、他動値によって等級を認定することが適切でない場合(例1:麻痺のために他動では関節が動くが、自動では動かない場合。例2:がまんできない程度の痛みが生じるために自動では動かせないと医学的に判断される場合)には、例外的に、患者自らの力で動かせる関節の角度(自動値)を計測し、その測定値をもって等級認定します。
なお、測定の際には他の関節まで動かしてしまうこと(代償運動)のないように注意してください(たとえば、股の屈曲の際に反対側の股も屈曲しないように注意する)。

このページの執筆者
弁護士 深田茂人(大分県弁護士会所属、登録番号33161)
大分市城崎町の深田法律事務所代表。
弁護士歴15年、交通事故の相談を800件以上担当してきました。交通事故被害者と保険会社の情報格差をなくしたいと思い、当サイトにて執筆しています。

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