大分市城崎町の深田法律事務所代表。
交通事故被害者が損をしないための情報を手軽に得られるように、「交通事故お役立ち手帳」のWEBサイトを運営・執筆したり、YouTubeチャンネルで情報発信したりしてます。全国の交通事故に詳しい弁護士とともに、無料相談にも対応してます。弁護士歴19年、交通事故相談担当1000件以上、大分県弁護士会所属(登録No33161)。
聴力低下などの後遺障害の等級
更新日:2021年12月07日
交通事故で聴力低下、耳鳴り、耳漏の後遺症が残った場合に保険会社から認定される後遺障害等級について解説します。
後遺症の程度と等級
聴力はオージオメーターを使用し、何デシベル以上の音であれば聴き取れるのかを測定します。
以下は大体の目安にすぎませんが、日常生活の音をデシベルで表したものです。
90デシベル=騒々しい工場の音の程度
80デシベル=電車の車内の音の程度
70デシベル=騒々しい街頭の音の程度
60デシベル=普通の会話の音の程度
50デシベル=静かな事務所の音の程度
40デシベル=図書館の音の程度
以下、聴力低下(両耳・片耳)、耳鳴り、耳漏に分けて、各等級を解説します。
両耳の聴力低下
- 4級
- 両耳の聴き取れる音が90デシベル以上
- 4級
- 両耳の聴き取れる音が80デシベル以上、かつ、言葉の聞き取りやすさが30%以下
- 6級
- 両耳の聴き取れる音が80デシベル以上
- 6級
- 両耳の聴き取れる音が50デシベル以上80デシベル未満、かつ、言葉の聞き取りやすさが30%以下
- 6級
- 聴き取れる音が、片方の耳は90デシベル以上で、他方の耳は70デシベル以上
- 7級
- 両耳の聴き取れる音が70デシベル以上
- 7級
- 両耳の聴き取れる音が50デシベル以上、かつ、言葉の聞き取りやすさが50%以下
- 7級
- 聴き取れる音が、片方の耳は90デシベル以上で、他方の耳は60デシベル以上
- 9級
- 両耳の聴き取れる音が60デシベル以上
- 9級
- 両耳の聴き取れる音が50デシベル以上、かつ、言葉の聞き取りやすさが70%以下
- 9級
- 聴き取れる音が、片方の耳は80デシベル以上で、他方の耳は50デシベル以上
- 10級
- 両耳の聴き取れる音が50デシベル以上
- 10級
- 両耳の聴き取れる音が40デシベル以上、かつ、言葉の聞き取りやすさが70%以下
- 11級
- 両耳の聴き取れる音が40デシベル以上
*「言葉の聞き取りやすさ」はスピーチオージオメーターを使用して測定します。
片耳の聴力低下
- 9級
- 片方の耳の聴き取れる音が90デシベル以上
- 10級
- 片方の耳の聴き取れる音が80デシベル以上90デシベル未満
- 11級
- 片方の耳の聴き取れる音が70デシベル以上80デシベル未満
- 11級
- 片方の耳の聴き取れる音が50デシベル以上、かつ、言葉の聞き取りやすさが50%以下
- 14級
- 片方の耳の聴き取れる音が40デシベル以上70デシベル未満
耳鳴り
- 12級
- 耳鳴りがあることを検査で確認ができて、難聴もある
- 14級
- 耳鳴りがあることを医師の診察やケガをした状況によって説明することができて、難聴もある
耳漏
- 12級
- 常に耳漏がある(=耳から液体が出てくる)
- 14級
- 常にではないが耳漏がある
上記共通
- 等級非該当
- 上記等級ほどの重い症状は無い
- 非典型後遺症
- 上記等級にあてはまらない重い症状がある
等級が認定されるためには聴力低下などの原因が検査などで証明できなければなりません。
保険会社から等級が認定されるケース
聴力低下などの原因の証明
等級が認定されるためには、聴力低下などが生じている原因を証明する必要があります。原因は複雑であることが多いのですが、代表的なものは以下のとおりです。
・内耳震盪(ないじしんとう)
=内耳のリンパ液が振動した。
・耳小骨転位(びしょうこつてんい)
=耳小骨の連結に異常が生じたり、はずれてしまったりした。
・外リンパ漏(がいりんぱろう)
=蝸牛窓や前庭窓が破裂して外リンパ液が中耳に流れ出た。
・側頭骨骨折(そくとうこつこっせつ)
=側頭部を構成する骨を骨折した。
・後迷路性難聴(こうめいろせいなんちょう)
=内耳より奥、つまり、聴神経から脳に至る聴覚伝導路のいずれかが障害された。
聴力低下などの程度の証明
「聴き取れる音」はオージオメーターで測定し、「言葉の聞き取りやすさ」はスピーチオージオメーターで測定して証明します。
【聴き取れる音(=平均純音聴力レベル)の測定方法】
オージオメーターを使用して測定します。聴力はデシベル(dB)で表示します。
500、1000、2000、4000ヘルツ(Hz)と音の高低を変えて、何デシベルの音が聴き取れるかを測定します。
検査には3回行き、2回目、3回目の測定値の平均値をとって 計算します(6分法)。検査と検査の間隔は7日程度開けます。
【言葉の聞き取りやすさ(=最高明瞭度)の測定方法】
スピーチオージオメーターを使用して測定します。語音聴取閾値検査と語音弁別検査を行います。ヘルツごとに明瞭度で表示され、その最高値を最高明瞭度として採用します。
なお、オージオメーターやスピーチオージオメーターは、被害者の自覚的な応答で判定されるものであるため、等級認定のためには以下のような他覚的な検査が求められることもあります。
・聴性脳幹反応(Auditory Brain-stem Response ; ABR)
=聴覚神経系を興奮させ、脳が示す電気生理学的な反応を読み取る検査。
・アブミ骨筋反射(Stapedius Reflex ; SR)
=大音響に対してアブミ骨に付いている耳小骨筋は収縮しますが、この収縮作用を利用した検査。
「耳鳴り」の12級が認定されるためには、以下の検査による証明が必要です。
ピッチ・マッチ検査(聞こえている耳鳴りの周波数を判定する検査)
ラウドネス・バランス検査(聞こえている耳鳴りの音量を判定する検査)
後遺障害診断書に書いてもらう
医師に後遺障害診断書の④欄「聴力と耳介の障害」の「オージオグラムを添付してください」や「耳鳴り」の欄に聴力や最高明瞭度、耳鳴について書いてもらって、それを自賠責保険会社または任意保険会社に提出して、後遺障害等級を認定してもらいます。
関連記事
-
視力低下の後遺障害等級
視力低下の程度によって等級が認定されます。
-
ピントが合わない後遺障害の等級
眼のピントが合わない程度によって等級が認定されます。
-
複視・眼球を動かしづらい後遺障害の等級
複視や眼球を動かしづらい程度によって等級が認定されます。
-
視野が狭くなった後遺障害の等級
視野が狭くなった程度によって等級が認定されます。
-
まぶたが動かしづらい後遺障害の等級
まぶたを開閉できる程度によって等級が認定されます。
-
におわない・呼吸しづらい後遺障害の等級
臭わない・呼吸しづらい程度によって等級が認定されます。
-
そしゃくしづらい・飲み込みづらい・言語不明瞭の後遺障害等級
噛みづらい・飲み込みづらい・言語不明瞭の程度によって等級が認定されます。
-
歯が欠けた後遺障害の等級
歯が欠けた程度によって等級が認定されます。
-
上肢・下肢の後遺障害の等級
腕から手、股から足の動かしづらさ、変形、短縮などの後遺障害等級
-
神経の後遺障害の等級
高次脳機能障害、麻痺、ムチウチ、てんかん、痛みなどの後遺障害等級
-
体幹骨の後遺障害の等級
背骨、鎖骨、けんこう骨、ろく骨、胸骨、骨盤骨の変形などの後遺障害等級
-
醜状の後遺障害等級
身体に残った傷あと等、まぶた・耳・鼻の欠損の後遺障害等級
-
内臓の後遺障害の等級
内臓の後遺障害の等級の認定基準など
-
後遺症
後遺障害等級の認定の手続きや認定基準など
-
後遺症慰謝料
後遺症が残った場合の慰謝料の相場など
-
後遺症逸失利益
後遺症が仕事に影響する場合の賠償金について
-
将来の介護費用
重い後遺症が残り、将来にわたって介護が必要になった場合について
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
このサイトは、交通事故被害者に不可欠な情報を提供しています。
・慰謝料を本格的に自動計算できます
・過失割合が何%か調べられます
・事故から解決までの流れ
事故から解決までの各場面の対応マニュアルを読むことができます。
・弁護士に無料相談
「交通事故被害者にできる限りの情報を届けたい」
「交通事故のことなら何でも相談してほしい」
という、全国の交通事故に詳しい弁護士に無料で相談できます。
- 地域を選択すると、その地域の無料相談できる弁護士を検索できます。