腰の骨の変形や腰を動かしづらい後遺障害の等級

更新日:2021年12月07日

執筆者:弁護士 深田 茂人

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執筆者プロフィール

交通事故で腰の骨の変形や腰を動かしづらい後遺症が残った場合に保険会社から認定される後遺障害等級について解説します。

後遺症の程度と等級

荷重障害

6級
首と腰の両方を支える硬性補装具が常に必要(首と背の骨の圧迫骨折・脱臼、筋肉等の麻痺や変化のいずれかが原因)
8級
腰の硬性補装具腰を支える硬性補装具が常に必要(背骨の圧迫骨折・脱臼、背の筋肉等の麻痺や変化のいずれかが原因)

運動障害

6級
首と腰がほぼ動かない(首と背の骨の圧迫骨折・せき椎固定術・筋肉等の変化のいずれかが原因)
*「ほぼ動かない」とは、首の全ての主要運動が15度以下、かつ、腰の主要運動が10度以下の状態のことです。
8級
腰を動かせる範囲が2分の1以下(背の骨の圧迫骨折、せき椎固定術、背の筋肉等の変化のいずれかが原因)
*「動かせる範囲が2分の1以下」とは、腰の主要運動が1/2以下、または、1/2を上回っていてもそれが5度以内であり腰の1つの参考運動の可動域角度が1/2以下、のいずれかの状態のことです。

変形障害

6級
背が後ろや横に相当な程度に弯曲している(背骨の圧迫骨折が原因)
*「相当な程度に弯曲」とは次の①②のいずれかです。
①背が後ろに弯曲している場合
2個以上の背骨の腹側の高さが減少し、それらの骨の腹側の高さの合計と背側の高さの合計の差が、それらの骨の1個あたりの背側の高さ以上になった。
②背が後ろと横に弯曲している場合
1個以上の背骨の腹側の高さが減少し、それらの骨の腹側の高さの合計と背側の高さの合計の差がそれらの骨の1個あたりの背側の骨の高さの50%以上になった。さらに、コブ法による側彎度(背が横に曲がる角度)が50度以上になった(コブ法とは、頭側で最も傾いている背骨の上の端の延長線と、お尻側で最も傾いている背骨の下の端の延長線が交わる角度を測定する方法)。
8級
背が後ろまたは横に一定程度に弯曲している(背骨の圧迫骨折が原因)
*「一定程度に弯曲」とは次の①②のいずれかです。
①背が後ろに弯曲している場合
1個以上の背骨の腹側の高さが減少し、それらの骨の腹側の高さの合計と背側の高さの合計の差がそれらの骨の1個あたりの背側の骨の高さの50%以上になった。
②背が横に弯曲している場合
コブ法による側彎度(背が横に曲がる角度)が50度以上になった(コブ法とは、頭側で最も傾いている背骨の上の端の延長線と、お尻側で最も傾いている背骨の下の端の延長線が交わる角度を測定する方法)。
11級
圧迫骨折背骨に圧迫骨折を残している
11級
背骨にせき椎固定手術を行った
11級
3個以上の背骨に椎弓形成手術を行った

上記共通

等級非該当
上記等級ほどの重い症状は無い
非典型後遺症
上記等級にあてはまらない重い症状がある

等級が認定されるためには腰の骨の変形や腰を動かしづらい原因が検査などで証明できなければなりません。

等級の詳しい解説

主要運動

関節の様々な動作のうち日常生活において重要と考えられる動作を主要運動といいます。腰や首を動かしづらい後遺症の場合には、主要運動の動く範囲によって等級が判断されます。

腰や首の主要運動は以下のとおりです(括弧内の角度は一般人の平均的な可動域角度(参考可動域角度といいます))。

腰の主要運動

屈曲+伸展(参考可動域角度は75度)
腰の屈曲・伸展

首の主要運動

首の主要運動は次の2つです。

  • 屈曲+伸展(参考可動域角度は110度)
  • 左回旋+右回旋(参考可動域角度は120度)
    首の屈曲・伸展
    首の回旋

参考運動

主要運動以外の動作を参考運動といいます。「腰を動かせる範囲が2分の1以下」の場合には8級が認定されますが、その際に主要運動だけでなく参考運動も考慮されることがあります。

腰の参考運動

腰の参考運動は次の2つです。

  • 右回旋+左回旋(参考可動域角度は80度)
  • 右側屈+左側屈(参考可動域角度は100度)

腰の回旋
腰の側屈

硬性補装具とは

硬性補装具とは、サポーターのような布製の補装具ではなく、金属やプラスチックの支柱が入った補装具のことです。

等級が認定されるために必要なこと

後遺症の原因(圧迫骨折・せき椎固定術・椎弓形成術・筋肉等の変化など)の証明

圧迫骨折、せき椎固定術、椎弓形成術、筋肉等の変化などの状況を証明して、その状況に応じた後遺症が生じていると判断されれば、背の骨の変形や腰を動かしづらい後遺症について後遺障害等級が認定されます。

・圧迫骨折
圧迫骨折とは、背骨が潰れることです。

・せき椎固定術
せき椎固定術とは、背骨の複数をプレートやスクリューなどの器具で固定する手術です。
 
・椎弓形成術
椎弓形成術とは、背骨の後ろ側のアーチ状の部分に人工骨などを入れる手術です。

・筋肉等の変化
背の筋肉などの軟部組織に器質的(=物理的)に明らかな変化が生じてしまった場合をいいます。

後遺症の程度の証明

関節の動かしづらい程度を証明するには、医師に関節の可動域角度を計測してもらう必要があります。
そして、等級の認定は、医師が力を加えて動いた関節の角度(他動値)によるのが原則です。
もっとも、他動値によって等級を認定することが適切でない場合(例1:麻痺のために他動では関節が動くが、自動では動かない場合。例2:がまんできない程度の痛みが生じるために自動では動かせないと医学的に判断される場合)には、例外的に、患者自らの力で動かせる関節の角度(自動値)を計測し、その測定値をもって等級認定します。
なお、測定の際には他の関節まで動かしてしまうこと(代償運動)のないように注意してください(たとえば、腰の屈曲の際に股関節まで動かさないように注意する)。

このページの執筆者
弁護士 深田茂人

弁護士 深田茂人
大分県弁護士会所属
登録番号33161

大分市城崎町の深田法律事務所代表。
弁護士歴18年、交通事故の相談を1000件以上担当してきました。交通事故被害者と保険会社の情報格差をなくしたいと思い、当サイトにて執筆しています。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

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