交差点以外の道路を横断中の自転車と車の事故の過失割合(信号機なし)

更新日:2023年03月01日

執筆者:弁護士 深田 茂人

交通事故被害者が損をしないための情報を手軽に得られるように、「交通事故お役立ち手帳」サイトを運営・執筆しています。そのコンセプトに賛同する全国の交通事故に詳しい弁護士とともに、無料相談にも対応しています。弁護士歴18年、交通事故相談担当1000件以上、大分県弁護士会所属(登録No33161)。

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このページでは、交差点以外の信号機のない道路を横断していた自転車と車(バイクまたは原付を含む)の事故の過失割合を調べることができます。

その他の事故の過失割合を調べたい方は、過失割合トップページへ(422の事例の過失割合をご紹介しています)。

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事例No287 道路横断中の自転車と車の事故

交差点以外の信号機のない道路を横断していた自転車と車の事故

交差点以外の信号機のない道路を横断していた自転車と車の事故の過失割合の目安は、以下のとおりです(上図の車がバイクまたは原付であった場合も含みます)。

過失割合

自転車
30 70
30 70

下の質問に回答していくと、上記の過失割合の%が変化して、より詳しく調べることができます。

夜(日没~日の出)でしたか?
歩道のある片側2車線以上の道路でしたか?
自転車はどこを横断していましたか?
隣接する横断歩道と自転車横断帯 横断歩道 自転車横断帯
自転車を運転していた人は12歳以下又は65歳以上でしたか?
自転車は酒酔い運転(まっすぐ歩けない等)又はブレーキ不良でしたか?
車は、時速30km以上の速度違反、酒酔い(まっすぐ歩けない等)、居眠り、無免許のいずれかでしたか?

過失割合の解説

自転車は、他の車の正常な交通を妨害するおそれがあるときは、道路を横断してはなりません(道路交通法第25条の2第1項)。
もっとも、自転車は、エンジンがなく、免許が不要で、年少者も運転しています。車に比べると危険の少ない乗り物ですし、歩行者に準じて保護されるべきといえます。
そのため、基本の過失割合は「自転車:車=30%:70%」となります。

ただし、上の各質問のような個別の事情があると、過失割合は変化することがあります。
たとえば、自転車は、自転車横断帯や横断歩道によって横断していた場合、過失割合が小さくなります。なぜなら、自転車は、自転車横断帯の付近では、自転車横断帯によって道路を横断しなければなりませんし(道路交通法第63条の6)、車は、横断歩道又は自転車横断帯により横断しようとする自転車がないことが明らかな場合を除き、徐行しなければならず、そのような自転車があるときは、一時停止し、その通行を妨げないようにしなければならないからです(同法第38条1項)。

また、車の運転者がカーナビ・携帯電話等を注視していた場合、車の過失割合が大きくなります。長く脇見をしながら運転をした場合も、過失割合が大きくなる可能性があります。

そのような裁判例としては、名古屋地方裁判所の平成22年2月5日判決があります。
事故現場は、民家が建ち並ぶ市街地にある東西に通じる見通しの良い市道であり、幅員は7mで、中央線は設けられていませんでした。
9月上旬、69歳のAは、ボランティア団体が行う公園の清掃活動に午前7時ころから参加していました。そして、Aは、清掃活動の参加者に配るパンとジュースを買うために、自転車で最寄りのコンビニエンスストアに向かいました。Aは、自転車を運転して市道の南側端を西進していましたが、横断しようとして道路の南側端から北側端に向けて北西方向に斜め45度程度の角度で横断進行しました。
一方、車は、時速約30kmで市道を西進していました。車の運転者は、衝突地点より28m手前の地点で、市道の北側端にいた歩行者が弟の知人ではないかと考え、歩行者に視線を移しました。その後、前方左右を注視せず、進行方向の安全を確認しないまま、時速30kmの速度で車を24.5m走行させました。そして、視線を前方に戻すとほぼ同時に、横断中の自転車が直前にいるのを発見し、ブレーキをかける間もなく、道路の南側から3分の2を過ぎた辺りの地点で、車を自転車に衝突させました。なお、車は、道路の中央付近をやや右側寄りに走行していました。
判決では、車が24.5mにわたって脇見運転をしたこと、自転車の運転者が69歳であったことなどが考慮され、自転車:車=10%:90%と判断されました。

ほかにも、上の質問に含まれてはいませんが、自転車は、相手の車や他の車の直前で横断を始めたり、他の車の直後で横断を始めたりした場合、過失割合が大きくなる可能性があります。なぜなら、相手の車の直前で横断を始めるのはきわめて危険が大きいですし、他の車の直前や直後で横断を始めると、自転車が見えづらく危険だからです。

上で表示される数値(%)は、各種法律文献を参考にして検討されたものであり、おおよその目安です。示談するときは事前に弁護士にご相談ください。
詳しくは自転車と車の事故の過失割合の数値(%)の根拠をご覧ください。

道路交通法第25条の2第1項
「車両は、歩行者又は他の車両等の正常な交通を妨害するおそれがあるときは、道路外の施設若しくは場所に出入するための左折若しくは右折をし、横断し、転回し、又は後退してはならない。」

同法第63条の6
「自転車は、道路を横断しようとするときは、自転車横断帯がある場所の付近においては、その自転車横断帯によつて道路を横断しなければならない。」

同法第38条1項
「車両等は、横断歩道又は自転車横断帯(以下この条において「横断歩道等」という。)に接近する場合には、当該横断歩道等を通過する際に当該横断歩道等によりその進路の前方を横断しようとする歩行者又は自転車(以下この条において「歩行者等」という。)がないことが明らかな場合を除き、当該横断歩道等の直前(道路標識等による停止線が設けられているときは、その停止線の直前。以下この項において同じ。)で停止することができるような速度で進行しなければならない。この場合において、横断歩道等によりその進路の前方を横断し、又は横断しようとする歩行者等があるときは、当該横断歩道等の直前で一時停止し、かつ、その通行を妨げないようにしなければならない。」(*太字引用者)

【このページの事例とは異なる事故の過失割合を調べたい方はこちら】
このページの事例は「自転車と車」「自転車が道路を横断中」「交差点ではない」「信号機なし」の事故です。

自転車ではなく歩行者の場合
信号機の無い横断歩道から2~10m離れた道路を横断していた歩行者と車の事故の過失割合(片側2車線以上の道路)
片側2車線未満の道路を横断中の歩行者と前進またはバックする車の事故の過失割合(信号機の無い横断歩道から2~5m離れた場所)

そのほかの事故の場合は、過失割合TOPページから質問に答えていくと、あてはまる事故のページにたどり着くことができます。

このページの執筆者
弁護士 深田茂人

弁護士 深田茂人
大分県弁護士会所属
登録番号33161

大分市城崎町の深田法律事務所代表。
弁護士歴18年、交通事故の相談を1000件以上担当してきました。交通事故被害者と保険会社の情報格差をなくしたいと思い、当サイトにて執筆しています。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

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