近くに交差点の無い片側2車線以上の道路を横断していた歩行者と車の事故の過失割合(横断歩道から50m以上離れた場所)

更新日:2023年03月01日

執筆者:弁護士 深田 茂人

交通事故被害者が損をしないための情報を手軽に得られるように、「交通事故お役立ち手帳」サイトを運営・執筆しています。そのコンセプトに賛同する全国の交通事故に詳しい弁護士とともに、無料相談にも対応しています。弁護士歴18年、交通事故相談担当1000件以上、大分県弁護士会所属(登録No33161)。

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横断歩道から50m以上離れた近くに交差点の無い片側2車線以上の道路を横断していた歩行者と車の事故

このページでは、歩行者が、横断歩道から50m以上離れた道路で、近くに交差点の無い片側2車線以上の場所を横断していたところ、車によって被害に遭った事故の過失割合を調べることができます(上図の車がバイクや原付であった場合も含みます)。

上図のいずれかの車と歩行者の事故です。つまり、普通に道路を前進している車との事故、または、道路を後退(バック)している車との事故です。

その他の事故の過失割合を調べたい方はこちら(全422事例)

弁護士
車は前進していましたか、それとも後退(バック)していましたか?(後退していた場合、歩行者は車のすぐ後ろで横断を始めましたか?)

上の回答のいずれにもあてはまらない場合はこちら

【このページの事例とは異なる事故の過失割合を調べたい方はこちら】
このページの事例は「歩行者と車」「片側2車線以上の道路」「歩行者が道路を横断中」「横断歩道から50m以上離れた道路」「近くに交差点なし」の事故です。

そのほかの事故の場合は、過失割合TOPページから質問に答えていくと、あてはまる事故のページにたどり着くことができます。

過失割合TOPページへ

事例No110 車が前進していたときの事故

横断歩道から50m以上離れた近くに交差点の無い片側2車線以上の道路を横断していた歩行者と前進する車の事故

横断歩道から50m以上離れた近くに交差点の無い片側2車線以上の道路を横断していた歩行者と前進する車の事故の過失割合の目安は、以下のとおりです。

過失割合

歩行者
30 70
30 70

下の質問に回答していくと、上記の過失割合の%が変化して、より詳しく調べることができます。

現場の道路には歩道(図A)又は端から1m以上離れた白線(図B)がありましたか?
歩道のある道路 路側帯のある道路
横断禁止場所でしたか?
人通りの多い場所・時間帯でしたか(日中の住宅街など)?
夜(日没~日の出)でしたか?
歩行者は5歳以下又は身体障がい者(目・耳・足・平行機能)でしたか?
歩行者のほかにも複数人が横断中でしたか?
歩行者は予測しづらい動きをしましたか(飛び出し、後退など)?
車の速度は次のいずれですか?

過失割合の解説

付近に横断歩道が無いため、歩行者は横断歩道によらずに道路を横断することができます。とはいえ、本事例は車の通行量の多い片側2車線以上の道路ですので、歩行者は車に十分注意して横断する必要があります。
もっとも、歩行者は車より交通弱者であるため、車の過失割合の方が大きくなります。
具体的には、基本の過失割合は「歩行者:車=30%:70%」となります(目安)。
ただし、上の各質問のような個別の事情によっては、過失割合が変化します。

実際の裁判例としては、大分地方裁判所の平成5年8月31日判決があります。
事故現場は、緩やかにカーブした片側2車線の交通頻繁な国道(車道部分の幅は約14.1m)で、歩道と車道の間には、高さ約50cmほどの植込みと、間隔をおいて高さ約6mほどの樹木が植えられていました。
車は、事故現場の約150~200mほど手前の信号機の表示に従って停止し、その表示に従って他の先行車が発進した後、取り残される形で遅れて発進しました。そして、事故現場の約106mほど手前の地点から注意散漫となりつつ、時速約50~60kmで進行していました。一方、歩行者は、68歳で、飲酒をした状態でした。車の先行車が事故現場付近を通過した後、道路を横断しようとして歩道から車道に出ました。その直後、車は、事故現場の約6m手前で車道に出ていた歩行者を前方に発見しましたが、ブレーキを踏む間もなく、衝突しました。
判決では、歩行者:車=20%:80%と判断されました。

上で表示される数値(%)は、各種法律文献を参考にして検討されたものであり、おおよその目安です。示談するときは事前に弁護士にご相談ください。
詳しくは歩行者と車の事故の過失割合の数値(%)の根拠をご覧ください。

事例No111 バックしていた車のすぐ後ろで歩行者が横断を始めたときの事故

横断歩道から50m以上離れた近くに交差点の無い片側2車線以上の道路でバックしていた車とそのすぐ後ろを横断していた歩行者の事故

横断歩道から50m以上離れた近くに交差点の無い片側2車線以上の道路でバックしていた車とそのすぐ後ろを横断していた歩行者の事故の過失割合の目安は、以下のとおりです。

過失割合

歩行者
25 75
25 75

下の質問に回答していくと、上記の過失割合の%が変化して、より詳しく調べることができます。

現場の道路には歩道(図A)又は端から1m以上離れた白線(図B)がありましたか?
歩道のある道路 路側帯のある道路
人通りの多い場所・時間帯でしたか(日中の住宅街など)?
夜(日没~日の出)でしたか?
歩行者は5歳以下又は身体障がい者(目・耳・足・平行機能)でしたか?
車はバックブザーを鳴らすなどの警告をしましたか?
車は、酒酔い(まっすぐ歩けない等)、居眠り、無免許のいずれかでしたか?

過失割合の解説

歩行者は、横断歩道以外では、車の直後を横断してはなりません(道路交通法第13条1項)。本事例では、横断歩道が近くにありませんので、歩行者は横断歩道によらずに道路を横断することはできますが(横断禁止場所を除く)、車の直前と直後を避けて横断しなければなりません。
もっとも、車はバックする際には、歩行者に十分注意しなければなりません。さらに、歩行者は車に対して交通弱者といえます。
そのため、基本の過失割合は「歩行者:車=25%:75%」となります。
ただし、上の各質問のような個別の事情によっては、過失割合が変化します。

上で表示される数値(%)は、各種法律文献を参考にして検討されたものであり、おおよその目安です。示談するときは事前に弁護士にご相談ください。
詳しくは歩行者と車の事故の過失割合の数値(%)の根拠をご覧ください。

道路交通法第13条1項
「歩行者は、車両等の直前又は直後で道路を横断してはならない。ただし、横断歩道によつて道路を横断するとき、又は信号機の表示する信号若しくは警察官等の手信号等に従つて道路を横断するときは、この限りでない。」

事例No112 バックしていた車のすぐ後ろ以外で歩行者が横断を始めたときの事故

横断歩道から50m以上離れた近くに交差点の無い片側2車線以上の道路でバックしていた車とそのすぐ後ろ以外を横断していた歩行者の事故

横断歩道から50m以上離れた近くに交差点の無い片側2車線以上の道路でバックしていた車とそのすぐ後ろ以外を横断していた歩行者の事故の過失割合の目安は、以下のとおりです。

過失割合

歩行者
15 85
15 85

下の質問に回答していくと、上記の過失割合の%が変化して、より詳しく調べることができます。

現場の道路には歩道(図A)又は端から1m以上離れた白線(図B)がありましたか?
歩道のある道路 路側帯のある道路
人通りの多い場所・時間帯でしたか(日中の住宅街など)?
歩行者は5歳以下又は身体障がい者(目・耳・足・平行機能)でしたか?
車が後退を始める前に歩行者はすでに車の後ろにいましたか?
車はバックブザーを鳴らすなどの警告をしましたか?
車は、酒酔い(まっすぐ歩けない等)、居眠り、無免許のいずれかでしたか?

過失割合の解説

付近に横断歩道が無いため、歩行者は横断歩道によらずに道路を横断することができます(ただし、横断禁止場所を除く)。とはいえ、車の交通量の多い片側2車線以上の道路ですので、歩行者は車に十分注意して横断する必要があります。
他方、車は、歩行者の正常な交通を妨害するおそれがあるときは、後退(バック)してはなりません(道路交通法第25条の1第1項)。また、歩行者は車より交通弱者といえます。
そのため、基本の過失割合は「歩行者:車=15%:85%」となります。

ただし、上の各質問のような個別の事情によっては、過失割合が変化します。
たとえば、歩行者は、5歳以下又は身体障がい者(目・耳・足・平行機能)であった場合、過失割合が小さくなります。
また、上の質問に含まれてはいませんが、車の後退する距離が長くなると、逆走となり、過失割合が大きくなる可能性があります。

上で表示される数値(%)は、各種法律文献を参考にして検討されたものであり、おおよその目安です。示談するときは事前に弁護士にご相談ください。
詳しくは歩行者と車の事故の過失割合の数値(%)の根拠をご覧ください。

このページの執筆者
弁護士 深田茂人

弁護士 深田茂人
大分県弁護士会所属
登録番号33161

大分市城崎町の深田法律事務所代表。
弁護士歴18年、交通事故の相談を1000件以上担当してきました。交通事故被害者と保険会社の情報格差をなくしたいと思い、当サイトにて執筆しています。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

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