大分市城崎町の深田法律事務所代表。
弁護士歴18年、交通事故の相談を1000件以上担当してきました。交通事故被害者と保険会社の情報格差をなくしたいと思い、当サイトにて執筆しています。
歩道も幅1m以上の路側帯も無い道路の端から1m超離れた場所の歩行者と車の事故の過失割合
更新日:2023年03月01日
このページでは、歩行者が、歩道も幅1m以上の路側帯(=道路端の白線内)も無い道路で、道路の端から1m超離れた場所を通行していたところ、車によって被害を受けた事故の過失割合を調べることができます(上図のどちらかの事故です。上図の車がバイクや原付であった場合も含みます)。
- 道路の幅は次のいずれでしたか?(8m以上の場合、歩行者はどこを通行していましたか?)
歩行者は、道路交通法第10条1項により、道路の側端を通行しなければなりません。しかし、本事例では、歩行者は道路の端から1m超離れた場所を通行していますので、歩行者に過失割合があります。
もっとも、車は常に前方に注意して、歩行者などを発見すれば、減速や停止するなどして事故を回避しなければなりません。また、車に対して歩行者は交通弱者といえます。したがって、車の過失割合の方が大きくなります。
なお、道路は、少なくとも端から1mは歩行者の通行のため、さらに3mは車の通行のために要します。このことは、道路交通法施行令第1条の2第4項からもうかがえます。
つまり、片側4m(道路幅8m)未満の道路は、歩行者と対向車の存在を考えると、幅に余裕が無いといえます。そのため、幅が8m以上か未満かによって、事故状況が変わるといえます。
道路交通法第10条1項
「歩行者は、歩道又は歩行者の通行に十分な幅員を有する路側帯と車道の区別のない道路においては、道路の右側端に寄つて通行しなければならない。ただし、道路の右側端を通行することが危険であるときその他やむを得ないときは、道路の左側端に寄つて通行することができる。」道路交通法施行令第1条の2第4項抜粋
「公安委員会が車両通行帯を設けるときは、次の各号に定めるところによるものとする。・・・歩道と車道の区別のない道路に車両通行帯を設けるときは、その道路の左側端寄りの車両通行帯の左側に一メートル以上の幅員を有する路側帯を設けること。・・・車両通行帯の幅員は、三メートル以上・・・とすること。」
*車両通行帯とは「車線」または「レーン」のことです。
【このページの事例とは異なる事故の過失割合を調べたい方はこちら】
このページの事例は「歩行者と車」「歩行者が道路を横断ではなく通行していた」「歩道も幅1m以上の路側帯も無い道路の端から1m超離れた場所」の事故です。
- 歩行者が横断も通行もしていなかった場合
車道で寝ていた人と車の事故の過失割合 - 歩道または幅1m以上の路側帯のある道路の車道の場合
歩道または幅1m以上の路側帯のある道路の車道での歩行者と車の事故の過失割合 - 歩行者が歩道または路側帯を通行していた場合
歩道または路側帯での歩行者と車の事故の過失割合 - 道路の端から1m以内の場合
歩道も幅1m以上の路側帯も無い道路の端から1m以内を通行していた歩行者と車の事故の過失割合
そのほかの事故の場合は、過失割合TOPページから質問に答えていくと、あてはまる事故のページにたどり着くことができます。
事例No179 幅8m以上の道路の端から1~3mの場所を通行していた歩行者と車の事故の過失割合
歩道も幅1m以上の路側帯も無い幅8m以上の道路の端から1~3mの場所を通行していた歩行者と車の事故の過失割合の目安は、以下のとおりです。
過失割合
歩行者 | 車 |
---|---|
10 | 90 |
10 | 90 |
下の質問に回答していくと、上記の過失割合の%が変化して、より詳しく調べることができます。
過失割合の解説
幅が8m以上ある道路では、車の速度が上がりやすいといえ、その分、歩行者はより注意して通行する必要があります。
もっとも、車は、他者に危害を加える可能性のある乗り物であり、特に歩行者には注意して運転されなければなりません。そして、車は、道路の側端には歩行者がいることを常に予測しなければなりません。また、側端から中央に寄ってくる可能性のある歩行者にも注意を払うべきです。特に道路端から約3mまでは、人や自転車の往来、車の駐停車などによって、車の通行が遮られる機会が多いことを予測すべきといえます。
そのため、基本の過失割合は「歩行者:車=10%:90%」となります。
ただし、上の各質問のような個別の事情によっては、過失割合が変化します。
上で表示される数値(%)は、各種法律文献を参考にして検討されたものであり、おおよその目安です。示談するときは事前に弁護士にご相談ください。
詳しくは歩行者と車の事故の過失割合の数値(%)の根拠をご覧ください。
事例No180 幅8m以上の道路の端から3mを越えた中央部分を通行していた歩行者と車の事故の過失割合
歩道も幅1m以上の路側帯も無い幅8m以上の道路の端から3mを越えた中央部分を通行していた歩行者と車の事故の過失割合の目安は、以下のとおりです。
過失割合
歩行者 | 車 |
---|---|
20 | 80 |
20 | 80 |
下の質問に回答していくと、上記の過失割合の%が変化して、より詳しく調べることができます。
過失割合の解説
幅が8m以上ある道路では、車の速度が上がりやすく、歩行者は側端を通行しなければ危険が大きいといえます。また、道路端から約3mを超えた中央部分では、人や自転車の往来、車の駐停車などによる車の通行が遮られる機会が多いとはいえないため、車の速度がより上がりやすいといえます。その分、車にとって歩行者の発見が困難となります。
もっとも、車は、他者に危害を加える可能性のある乗り物であり、特に歩行者には注意して運転されなければなりません。
そのため、基本の過失割合は「歩行者:車=20%:80%」となります。
ただし、上の各質問のような個別の事情によっては、過失割合が変化します。
上で表示される数値(%)は、各種法律文献を参考にして検討されたものであり、おおよその目安です。示談するときは事前に弁護士にご相談ください。
詳しくは歩行者と車の事故の過失割合の数値(%)の根拠をご覧ください。
事例No181 幅8m未満の道路の端から1m超離れた場所を通行していた歩行者と車の事故の過失割合
歩道も幅1m以上の路側帯も無い幅8m未満の道路の端から1m超離れた場所を通行していた歩行者と車の事故の過失割合の目安は、以下のとおりです。
過失割合
歩行者 | 車 |
---|---|
10 | 90 |
10 | 90 |
下の質問に回答していくと、上記の過失割合の%が変化して、より詳しく調べることができます。
過失割合の解説
幅が8m未満の道路は、歩行者と対向車の存在を考えると、幅に余裕がなく、歩行者が通行すべき道路の端1mを超えるのであれば、どこを通行しても危険は同程度と考えられます。
そして、車は、他者に危害を加える可能性のある乗り物であり、特に歩行者には注意して運転されなければなりません。
そのため、基本の過失割合は「歩行者:車=10%:90%」となります。
ただし、上の各質問のような個別の事情によっては、過失割合が変化します。
実際の裁判例としては、東京地方裁判所の昭和61年5月27日判決があります。
12月下旬の午後8時半ころ、歩行者が飲酒の上、歩車道の区別のない幅員5.6~7.5mの県道のほぼ中央付近を自転車を押しながら歩いていたところ、対面から進行してきた車に衝突されました。
判決では、歩行者:車=10%:90%と判断されました。
上で表示される数値(%)は、各種法律文献を参考にして検討されたものであり、おおよその目安です。示談するときは事前に弁護士にご相談ください。
詳しくは歩行者と車の事故の過失割合の数値(%)の根拠をご覧ください。
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