青または黄信号で交差点を直進する車と対向右折車の事故の過失割合

両車ともに青信号で交差点に入っていますが、右折車は直進車の進行を妨害してはなりません（直進優先、道路交通法第37条）。
そのため、基本の過失割合は「直進車：右折車＝20%：80%」となります。

ただし、上の各質問のような個別の事情によっては、過失割合は変化することがあります。
たとえば、直進車は、交差点に入った時に、先の進路が渋滞のために交差点内で停止しなければならないおそれがあった場合、道路交通法第50条1項に違反し、過失割合が大きくなります。なぜなら、直進車が途切れるのを待っている右折車は、このような場合、直進車が交差点に入ってこないだろうと期待するのが一般的だからです。

実際の裁判例としては、東京地方裁判所の平成24年7月17日判決があります。
普通貨物自動車が、対向車線を走行する車の動向を注視せずに、時速約13.8km程度で早回り右折（ショートカット右折）をしようとしたところ、時速約46.9km程度で青信号で交差点に直進して入った対向の普通乗用自動車に衝突した事故です。ショートカット右折の点で右折車の過失割合が大きくなり、直進車：右折車＝15%：85%と判断されました。
なお、右折車が、対向車線を走行する車の動向を注視していなかった点は、基本の過失割合で考慮済みと考えられます。また、右折車の時速13.8kmは減速していると判断されたと考えられます。この点は、右折のタイミング、対向車などの状況によります。

上で表示される数値（％）は、各種法律文献を参考にして検討されたものであり、おおよその目安です。示談するときは事前に弁護士にご相談ください。
詳しくは四輪自動車同士または単車同士の事故の過失割合の数値（％）の根拠をご覧ください。

道路交通法第50条1項
「交通整理の行なわれている交差点に入ろうとする車両等は、その進行しようとする進路の前方の車両等の状況により、交差点（交差点内に道路標識等による停止線が設けられているときは、その停止線をこえた部分。以下この項において同じ。）に入つた場合においては当該交差点内で停止することとなり、よつて交差道路における車両等の通行の妨害となるおそれがあるときは、当該交差点に入つてはならない。」

両車ともに黄信号で交差点に進入しており、その点で違反があります。
もっとも、直進優先（道路交通法第37条）のため、右折車の過失割合の方が大きくなります。
具体的には、基本の過失割合は「直進車：右折車＝40%：60%」となります。
ただし、上の各質問のような個別の事情によっては、過失割合は変化することがあります。

上で表示される数値（％）は、各種法律文献を参考にして検討されたものであり、おおよその目安です。示談するときは事前に弁護士にご相談ください。
詳しくは四輪自動車同士または単車同士の事故の過失割合の数値（％）の根拠をご覧ください。

道路交通法施行令第2条1項
「黄色の灯火　車両及び路面電車（以下この表において「車両等」という。）は、停止位置をこえて進行してはならないこと。ただし、黄色の灯火の信号が表示された時において当該停止位置に近接しているため安全に停止することができない場合を除く。」

直進車は黄信号で交差点に進入しており、その点で違反があります。ただし、交差点の直前で青から黄に変わり、停止位置で安全に停止できなかった場合は、例外的に交差点に入ることが許されて、青信号と同じ扱いになりますので（道路交通法施行令第2条1項）、そのような場合であれば事例No750をご覧ください。
そのような例外的な場合でなければ、基本の過失割合は「直進車：右折車＝70%：30%」となります。
ただし、上の各質問のような個別の事情によっては、過失割合は変化することがあります。

上で表示される数値（％）は、各種法律文献を参考にして検討されたものであり、おおよその目安です。示談するときは事前に弁護士にご相談ください。
詳しくは四輪自動車同士または単車同士の事故の過失割合の数値（％）の根拠をご覧ください。