2021.04.09 更新

主婦などの家事従事者の休業損害

このページでは、家事従事者の休業損害の計算方法などについて解説します。
主婦

交通事故でケガをして、治療や安静のため、家事がおろそかになって家族に迷惑をかけてしまいました

弁護士

休業損害は主婦の方でも請求できます。弁護士基準で計算した金額を請求しましょう

金額の計算方法

主婦などの家事従事者が家事をできなかった場合、その分をお金に換算し、休業損害として保険会社に請求できます。
家政婦さんに頼むとお金がかかりますし、家政婦さんに頼まないと家族が家事の利益を享受できなくなるからです(掃除の行き届かない部屋で生活する、代わりに家事をするなど)。

金額は次の式で計算します。

女性の平均年収÷365日×家事ができなかった日数

女性の平均年収は、事故に遭った年のものを使います。
本サイトの慰謝料などの賠償金自動計算機のページでは、平成30年の女性の平均年収382万6300円で計算されます。

「家事ができなかった日数」については、はっきり決めるのが難しい場合が多いです。
なぜなら、裁判になった場合、裁判官ですら、カルテなどの病院の記録を見たり、家事従事者本人から話を聞いたりした上で、悩みながら、妥当な日数を決めるものだからです。
おおまかな日数で計算した上で、保険会社と話し合うほかありません。

たとえば、入院30日間、通院90日間で、通院中は家事が半分くらいできなかったと思われる場合は、家事ができなかった日数=30日+90日×1/2=75日と計算するとよいでしょう。

そして、保険会社との話し合いの中で、日数について譲歩できるかを検討しましょう。
保険会社が、あまりに少ない日数を主張する場合は、弁護士に相談することをおすすめします。

上記の計算方法は「弁護士基準」によるものです。
金額が最も高くなる弁護士基準で計算し、保険会社と金額について話し合うことが大切です。

弁護士基準と任意保険基準の表グラフ

電卓を持つ弁護士
慰謝料などの賠償金自動計算機のページでは、「弁護士基準」で休業損害や慰謝料などの賠償金を自動計算できます

後遺症がある場合

休業損害を計算するときの「家事ができなかった日数」は、症状固定日(しょうじょう こていび)までの日数にしてください。
症状固定日とは、治療を続けても症状が改善しなくなった最初の日です。

症状固定日より後の家事ができなかった分は、休業損害ではなく、後遺症逸失利益(こういしょう いっしつりえき)として計算します。

症状固定日と休業損害の関係

金額が増減するケース

弁護士基準では、平均的な家庭の家事負担を想定して、「女性の平均年収」を使って計算することにしています。

そのため、家事負担が特に重かったり軽かったりする場合には、女性の平均年収を増減した上で計算されることがあります

次のような場合、女性の平均年収を減額した上で計算される傾向があります。

  • 介護の必要がない配偶者と2人暮らしの高齢の家事従事者の場合
  • 家事を分担する人がいた場合

兼業の家事従事者の場合

兼業主婦などの場合、「家事ができなかった分を金銭換算した金額」と「お勤め先での減収額」のいずれか高い方を休業損害として請求するのが一般的です。

「家事ができなかった分を金銭換算した金額」の計算方法は、上記の専業の家事従事者と同じです。

「お勤め先での減収額」の計算方法は、以下のページをご覧ください。
会社員の休業損害
会社役員の休業損害
個人事業主の休業損害

なお、家事とお勤め先の両方を休んだのだから、両方の金額を足して請求できるとする裁判例もごく少数ながら存在します。
しかし、多くの裁判例では、家事は24時間労働であり、その一部を割いてお勤め先で働いていると考え、いずれか高い方のみ請求できるとしています。

保険会社と揉めやすいパターン

兼業主婦などの場合、迷惑をかけられないという理由でお勤め先の仕事を休まずに我慢し、その分のしわよせで家事ができなかったというケースがあります。

よくあるのは、保険会社が「お勤め先で働けているのだから、家事ができなかったはずはない」と言ってくることです。

話し合いをしても保険会社が休業損害を支払おうとしない場合は、裁判をして、カルテなどの病院の記録によって家事ができなかったことを証明するほかありません。
しかし、お勤め先で働いていたという事実は、家事の休業損害を請求するにあたり、裁判官にも不利に判断される可能性があります。
お勤め先のことを考えて我慢した人が損をするようにも思われ、納得しづらい面がありますが、休業損害では「働けない」ことが条件ですので、その証明ができなければ請求は難しくなります。

このページの執筆者
弁護士 深田茂人(大分県弁護士会所属、登録番号33161)
大分市城崎町の深田法律事務所代表。
弁護士歴15年、交通事故の相談を800件以上担当してきました。交通事故被害者と保険会社の情報格差をなくしたいと思い、当サイトにて執筆しています。