2021.04.09 更新

会社経営者や役員の休業損害

このページでは、会社経営者や役員の休業損害について解説します。会社経営者や役員の休業損害とは、交通事故によるケガの治療や安静のために仕事を休んで減った報酬のことです。
役員

ケガの治療や安静のために仕事を休んで、会社に迷惑をかけてしまいました・・・

弁護士

会社の役員をされている方が保険会社に休業損害を請求する方法や金額の計算方法について説明します。

基本的には会社員(正社員・アルバイト)の休業損害と計算方法などは同じ

計算方法や請求方法などの概要は以下のとおりです。
赤字部分以外は、会社員(正社員・アルバイト)の休業損害と同じですので、詳しくは会社員の休業損害のページをご覧ください。

会社役員の休業損害の金額=1日あたりの収入額✕休んだ日数

*1日あたりの収入額=事故前3か月分の税引き前の総収入額÷90日
*事故前3か月分の税引き前の総収入額は、所得税や社会保険料などの各種控除をする前の金額です。ただし、役員報酬中の労務対価部分の金額に限られる(会社員との違い)。

  • 休業損害として請求できるのは症状固定日までです。
  • 有給休暇の日数も「休んだ日数」に加えて休業損害の計算をするのが一般的です。
  • 賞与(ボーナス)を減らされた場合は、賞与減額分の休業損害を請求しましょう。
  • 休んだ日が連続していないために所定の休日が「休んだ日数」含まれていない場合は増額の可能性があります。
  • 仕事を休む必要がなかったと判断される場合は減額の可能性があります。
  • 休業損害証明書や源泉徴収票などの保険会社から提出を求められた資料を提出すれば、示談前の治療中であっても、休業損害のお金を保険会社が払ってくれるのが一般的です。休業損害証明書の書き方については会社員の休業損害のページをご覧ください。

会社員の休業損害と違うところ

役員報酬中の労務対価部分の金額に限られる

従業員とは異なり、役員の場合、その報酬の中には労働の対価だけでなく、出資などに対する利益配当的な部分も含まれている可能性があります。
そして、交通事故でケガをして働けなかった場合、労働の対価としての報酬が減額されますが、利益配当的な部分は減額されないと一般的には考えられます。

そのため、会社役員の休業損害を計算する場合、まずは役員報酬のうち、休業によって減額されることのない利益配当的な部分は除き、事故前3か月分の労働の対価部分の金額のみの総収入額を求め、それを90日で割り算して、1日あたりの収入額を算出します。それに休んだ日数をかけ算して会社役員の休業損害の金額を計算します。

具体的には、役員の仕事内容、報酬の額、同種の仕事をしている従業員の給料との差、同族会社であるか、親族でない役員の報酬との差などを考慮して、労働の対価部分の金額を算出するのですが、単純に計算できるものではありません。

そのため、いったんは役員報酬の全額をもとに休業損害を計算し、労働の対価とはいえない部分が報酬に含まれていると考えられるのであれば、保険会社との示談交渉の中で減額に応じることを検討するのが、現実的な方法と考えられます。

*本サイトの慰謝料などの賠償金自動計算機では、役員報酬の全額をもとに休業損害を計算しています。

休業していても会社から報酬の全額が支払われている場合

収入の減額が無ければ休業損害は認められないのが原則です。
しかし、役員報酬は一定期間固定されていることもあり、実際は休業による損失があるにもかかわらず、役員報酬が減額されていないケースも珍しくありません。
そのような場合、役員報酬を減額しなかったことによって、役員個人ではなく会社がその分の損害を被ったとして、会社から保険会社に対する請求が認められる可能性があります。
もっとも、休業分の役員報酬を会社に返上して、役員がその分の貸付を受けた扱いにすれば、役員の報酬は減額されていることになり、役員個人としての休業損害の請求が可能になります。

企業損害

役員の休業により会社の営業活動に支障が生じて、会社の売上げが減少することがあります(企業損害といいます)。
交通事故によって直接の被害を受けたのは、あくまで役員個人ですので、会社が被ったこのような損害を保険会社に請求することは一般的には難しいです。
しかし、他に従業員がいないなど、役員の休業が会社の休業に直結するような場合は、会社が被った損害を保険会社に請求できる可能性があります。

このページの執筆者
弁護士 深田茂人(大分県弁護士会所属、登録番号33161)
大分市城崎町の深田法律事務所代表。
弁護士歴15年、交通事故の相談を800件以上担当してきました。交通事故被害者と保険会社の情報格差をなくしたいと思い、当サイトにて執筆しています。