信号機のない交差点で優先道路を走行する自転車とその左または右の道路から出てきた車の事故の過失割合

更新日:2023年03月01日

執筆者:弁護士 深田 茂人

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信号機のない交差点で優先道路を走行する自転車とその左または右の道路から出てきた車の事故

このページでは、信号機のない交差点で優先道路を走行していた自転車と、その左または右の道路から出てきた車の事故の過失割合を調べることができます。
優先道路とは、交差点内に車線が引かれている道路、または、優先道路の標識等のある道路のことです。

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以下の法令のとおり、優先道路を走行する自転車は、非優先道路から交差点に入ろうとする車に優先します。
そのため、基本的には、自転車の過失割合が小さくなります。

道路交通法第36条2項3項
「2 車両等は、交通整理の行なわれていない交差点においては、その通行している道路が優先道路(道路標識等により優先道路として指定されているもの及び当該交差点において当該道路における車両の通行を規制する道路標識等による中央線又は車両通行帯が設けられている道路をいう。以下同じ。)である場合を除き、交差道路が優先道路であるとき、又はその通行している道路の幅員よりも交差道路の幅員が明らかに広いものであるときは、当該交差道路を通行する車両等の進行妨害をしてはならない。
3 車両等(優先道路を通行している車両等を除く。)は、交通整理の行なわれていない交差点に入ろうとする場合において、交差道路が優先道路であるとき、又はその通行している道路の幅員よりも交差道路の幅員が明らかに広いものであるときは、徐行しなければならない。」

同法第2条1項8号11号
「この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
八 車両 自動車、原動機付自転車、軽車両及びトロリーバスをいう。
十一 軽車両 次に掲げるものであつて、身体障害者用の車椅子及び歩行補助車等以外のものをいう。
イ 自転車、荷車その他人若しくは動物の力により、又は他の車両に牽けん引され、かつ、レールによらないで運転する車(そり及び牛馬を含む。)
ロ 原動機を用い、かつ、レール又は架線によらないで運転する車であつて、車体の大きさ及び構造を勘案してイに準ずるものとして内閣府令で定めるもの」(*太字引用者)

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このページの事例は「自転車と車」「交差点」「信号機なし」「自転車が優先道路を走行」「自転車の左または右の道路から車が出てきた」の事故です。

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事例No240 優先道路を走行する自転車の左から車が直進してきた事故

信号機のない交差点で優先道路を走行する自転車とその左の道路から直進してきた車の事故

信号機のない交差点で優先道路を走行する自転車とその左の道路から直進してきた車の事故の過失割合の目安は、以下のとおりです。

過失割合

自転車
10 90
10 90

下の質問に回答していくと、上記の過失割合の%が変化して、より詳しく調べることができます。

自転車はどこを横断していましたか?
隣接する横断歩道と自転車横断帯 横断歩道 自転車横断帯
自転車を運転していた人は12歳以下又は65歳以上でしたか?
自転車は酒酔い運転(まっすぐ歩けない等)又はブレーキ不良でしたか?
車は、時速30km以上の速度違反、酒酔い(まっすぐ歩けない等)、居眠り、無免許のいずれかでしたか?

過失割合の解説

優先道路を走行する自転車は、非優先道路から交差点に入ろうとする車に優先します(道路交通法第36条2項3項、同法第2条1項8号11号)。
そのため、基本の過失割合は「自転車:車=10%:90%」となります。

ただし、上の各質問のような個別の事情があると、過失割合は変化することがあります。
たとえば、自転車は自転車横断帯を渡っていた場合、過失割合が小さくなります。

上で表示される数値(%)は、各種法律文献を参考にして検討されたものであり、おおよその目安です。示談するときは事前に弁護士にご相談ください。
詳しくは自転車と車の事故の過失割合の数値(%)の根拠をご覧ください。

事例No241 優先道路を走行する自転車の左から車が右折してきた事故

信号機のない交差点で優先道路を走行する自転車とその左の道路から右折してきた車の事故

信号機のない交差点で優先道路を走行する自転車とその左の道路から右折してきた車の事故の過失割合の目安は、以下のとおりです。

過失割合

自転車
10 90
10 90

下の質問に回答していくと、上記の過失割合の%が変化して、より詳しく調べることができます。

自転車はどこを横断していましたか?
隣接する横断歩道と自転車横断帯 横断歩道 自転車横断帯
自転車を運転していた人は12歳以下又は65歳以上でしたか?
自転車が明らかに先に交差点に入りましたか?
自転車は酒酔い運転(まっすぐ歩けない等)又はブレーキ不良でしたか?
車は右折禁止違反でしたか?
車は減速しましたか?
車は、酒酔い(まっすぐ歩けない等)、居眠り、無免許のいずれかでしたか?

過失割合の解説

優先道路を走行する自転車は、非優先道路から交差点に入ろうとする車に優先します(道路交通法第36条2項3項、同法第2条1項8号11号)。
そのため、基本の過失割合は「自転車:車=10%:90%」となります。
ただし、上の各質問のような個別の事情があると、過失割合は変化することがあります。

上で表示される数値(%)は、各種法律文献を参考にして検討されたものであり、おおよその目安です。示談するときは事前に弁護士にご相談ください。
詳しくは自転車と車の事故の過失割合の数値(%)の根拠をご覧ください。

事例No242 優先道路を走行する自転車の右から車が直進してきた事故

信号機のない交差点で優先道路を走行する自転車とその右の道路から直進してきた車の事故

信号機のない交差点で優先道路を走行する自転車とその右の道路から直進してきた車の事故の過失割合の目安は、以下のとおりです。

過失割合

自転車
10 90
10 90

下の質問に回答していくと、上記の過失割合の%が変化して、より詳しく調べることができます。

自転車はどこを横断していましたか?
隣接する横断歩道と自転車横断帯 横断歩道 自転車横断帯
自転車を運転していた人は12歳以下又は65歳以上でしたか?
自転車は酒酔い運転(まっすぐ歩けない等)又はブレーキ不良でしたか?
車は、時速30km以上の速度違反、酒酔い(まっすぐ歩けない等)、居眠り、無免許のいずれかでしたか?

過失割合の解説

優先道路を走行する自転車は、非優先道路から交差点に入ろうとする車に優先します(道路交通法第36条2項3項、同法第2条1項8号11号)。
そのため、基本の過失割合は「自転車:車=10%:90%」となります。
ただし、上の各質問のような個別の事情があると、過失割合は変化することがあります。

本事例に近い裁判例としては、名古屋地方裁判所の平成15年12月3日判決があります(自転車が道路の右側を通行し、車が左折しようとしたときの事故)。
事故現場は、車道の幅員が約10.2mで、交差点の中にも中央線が引かれている片側1車線の東西に延びる道路(東西道路)と、車道の幅員が約5.2mの中央線の引かれていない、南側は北側に向けた、北側は南側に向けた一方通行の南北に延びる道路(南北道路)が直角に交わる交差点でした。東西道路の車道の外側には、南側に約3.7m幅の、北側に約3.4m幅の歩道が設置されていました。南北道路の南側の本件交差点手前には一時停止線が引かれ、その南側には一時停止標識が設置されていました。本件交差点の南西の角には民家が建っていて見通しが悪く、南北道路から東西道路の南側歩道の状況は、停止線を越えないと確認できませんでした。
午後3時ころ、車の運転者は、休憩のために勤務先の営業所に向かおうと、南北道路を時速約30kmの速度で車を北進させ、前を走行する他の車はない状況で本件交差点の近くまで来ました。そして、本件交差点を左折しようと考え、本件交差点の約20m手前の地点で一時停止標識を確認し、左折の合図を出し、本件交差点の約10m手前付近でブレーキを踏んで減速を始めました。もっとも、本件交差点の左方の見通しのよい地点まで出て止まろうと考え、一時停止線で停止せず、ゆっくりとした速度で進行しました。一方、自転車の運転者は、帰宅のために、東西道路の南側の歩道上を西から東に向け、時速約10~15kmの速度で走行していましたが、本件交差点手前で一時停止することなく、南北道路の一時停止線の北側付近を通過しようとしたときに、車と衝突しました。
判決では、東西道路が優先道路であったこと、車は一時停止線で停止せず漫然と本件交差点に進入しようとしたことから、基本的な過失割合は、自転車:車=10%:90%と考えられるものの、自転車は、本件交差点手前は、南側歩道上に沿って建物が建っていて進行方向右側を見通すことができないことを認識しながら、減速することなく、時速10km以上の速度で本件交差点を通過しようとしたことが考慮され、本件事故の過失割合については、自転車に1割の加算修正をするのが相当であるとして、自転車:車=20%:80%と判断されました。

上で表示される数値(%)は、各種法律文献を参考にして検討されたものであり、おおよその目安です。示談するときは事前に弁護士にご相談ください。
詳しくは自転車と車の事故の過失割合の数値(%)の根拠をご覧ください。

事例No243 優先道路を走行する自転車の右から車が右折してきた事故

信号機のない交差点で優先道路を走行する自転車とその右の道路から右折してきた車の事故

信号機のない交差点で優先道路を走行する自転車とその右の道路から右折してきた車の事故の過失割合の目安は、以下のとおりです。

過失割合

自転車
10 90
10 90

下の質問に回答していくと、上記の過失割合の%が変化して、より詳しく調べることができます。

自転車はどこを横断していましたか?
隣接する横断歩道と自転車横断帯 横断歩道 自転車横断帯
自転車を運転していた人は12歳以下又は65歳以上でしたか?
自転車が明らかに先に交差点に入りましたか?
自転車は酒酔い運転(まっすぐ歩けない等)又はブレーキ不良でしたか?
車は右折禁止違反でしたか?
車は減速しましたか?
車は、酒酔い(まっすぐ歩けない等)、居眠り、無免許のいずれかでしたか?

過失割合の解説

優先道路を走行する自転車は、非優先道路から交差点に入ろうとする車に優先します(道路交通法第36条2項3項、同法第2条1項8号11号)。
そのため、基本の過失割合は「自転車:車=10%:90%」となります。

ただし、上の各質問のような個別の事情があると、過失割合は変化することがあります。
たとえば、自転車は道路の左側を通行しなければなりませんので(道路交通法第17条4項、第17条の2、第18条1項、第20条1項)、右側通行していた場合は違反になります。特に、交差点の角に建物などがあってお互いが見えない交差点で、車の左方から自転車が右側通行してきた場合、車にとっては急に自転車が目の前に現れることになって危険が大きいため、自転車の過失割合が大きくなります。もっとも、自転車は自転車横断帯の付近では自転車横断帯で横断しなければなりませんので(同法第63条の7)、右側通行であっても自転車横断帯を横断中は、過失割合は大きくなりません。

上で表示される数値(%)は、各種法律文献を参考にして検討されたものであり、おおよその目安です。示談するときは事前に弁護士にご相談ください。
詳しくは自転車と車の事故の過失割合の数値(%)の根拠をご覧ください。

道路交通法第17条4項
「車両は、道路(歩道等と車道の区別のある道路においては、車道。以下第九節の二までにおいて同じ。)の中央(軌道が道路の側端に寄つて設けられている場合においては当該道路の軌道敷を除いた部分の中央とし、道路標識等による中央線が設けられているときはその中央線の設けられた道路の部分を中央とする。以下同じ。)から左の部分(以下「左側部分」という。)を通行しなければならない。」

第17条の2第1項
「軽車両は、前条第一項の規定にかかわらず、著しく歩行者の通行を妨げることとなる場合を除き、道路の左側部分に設けられた路側帯(軽車両の通行を禁止することを表示する道路標示によつて区画されたものを除く。)を通行することができる。」

第18条1項本文
「車両(トロリーバスを除く。)は、車両通行帯の設けられた道路を通行する場合を除き、自動車及び原動機付自転車にあつては道路の左側に寄つて、軽車両にあつては道路の左側端に寄つて、それぞれ当該道路を通行しなければならない。」

第20条1項
「車両は、車両通行帯の設けられた道路においては、道路の左側端から数えて一番目の車両通行帯を通行しなければならない。ただし、自動車(小型特殊自動車及び道路標識等によつて指定された自動車を除く。)は、当該道路の左側部分(当該道路が一方通行となつているときは、当該道路)に三以上の車両通行帯が設けられているときは、政令で定めるところにより、その速度に応じ、その最も右側の車両通行帯以外の車両通行帯を通行することができる。」

同法第63条の7第1項
「自転車は、前条に規定するもののほか、交差点を通行しようとする場合において、当該交差点又はその付近に自転車横断帯があるときは、第十七条第四項、第三十四条第一項及び第三項並びに第三十五条の二の規定にかかわらず、当該自転車横断帯を進行しなければならない。」(*太字引用者)

このページの執筆者
弁護士 深田茂人

弁護士 深田茂人
大分県弁護士会所属
登録番号33161

大分市城崎町の深田法律事務所代表。
弁護士歴18年、交通事故の相談を1000件以上担当してきました。交通事故被害者と保険会社の情報格差をなくしたいと思い、当サイトにて執筆しています。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

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