2021.04.09 更新

外国人の後遺症逸失利益

このページでは、外国人が交通事故に遭い、ケガが完治せずに後遺症が残った場合の後遺症逸失利益(後遺症が将来にわたって仕事に影響して稼ぎにくくなったお金)について解説します。
外国人

後遺症の影響で仕事のパフォーマンスが下がりました。

弁護士

後遺症逸失利益を請求しましょう。ただし、永住資格の有無や在留資格の更新が確実かによって、金額の計算方法が異なります。

永住資格がある場合

在留資格(ビザ)が「永住者」である場合、将来にわたって、日本で働くと考えられますので、日本の物価や収入水準をもとに、後遺症逸失利益の計算をします。つまり、日本人と同じ計算をします。

在留資格の更新が確実に認められる場合

在留資格の更新が確実に認められる場合、将来にわたって、日本で働くと考えられますので、日本の物価や収入水準をもとに、後遺症逸失利益の計算をします。つまり、日本人と同じ計算をします。

どのような場合に在留資格の更新が確実に認められるか

以下の各要素を考慮して、在留資格の更新が確実に認められるかが、個別のケースごとに検討されることになります。

  • 来日目的
  • 事故の時点における本人の意思
  • 在留資格の内容
  • 過去の在留期間の更新の実績
  • 将来の在留期間の更新の見込み(素行が不良でないこと、独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること、雇用・労働条件が適正であること、納税義務を履行していること、入管法に定める届出等の義務を履行していることなどにより判断されます)
  • 生活や仕事の実態

一般的には、在留資格(ビザ)が「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者」の場合は、在留資格の更新が確実に認められるとされる可能性が高いといえます。

そのほかの在留資格の場合は、上記の各要素をより詳細に検討して、在留資格の更新が確実に認められるといえるかが判断されることになります。
個別の判断が必要ですので、弁護士に相談することをお勧めします。

最高裁判所平成9年1月28日判決
「予測される我が国での就労可能期間ないし滞在可能期間内は我が国での収入を基礎とし、その後は想定される出国先(多くは母国)での収入等を基礎として逸失利益を算定するのが合理的ということができる。そして、我が国における就労可能期間は、来日目的、事故の時点における本人の意思、在留資格の有無、在留資格の内容、在留期間、在留期間更新の実績及び蓋然性、就労資格の有無、就労の態様等の事実的及び規範的な諸要素を考慮して、これを認定するのが相当である。」

永住資格はなく在留資格の更新も確実には認められない場合

将来にわたって、ずっと日本で働くとは考えられないため、日本で働くことを予定していた期間の経過後は、日本国外で働くものとして計算をする必要があります。通常は、出身国の物価や収入水準をもとに、後遺症逸失利益の計算をします。

もっとも、出身国の物価や収入水準などの資料を集めることや、それをもとに計算することは、高い専門性を要しますので、弁護士に相談することをお勧めします。

電卓を持つ弁護士
本サイトの慰謝料などの賠償金自動計算機では、永住資格はなく在留資格の更新も確実には認められない場合は個別の判断が特に必要なため、「要弁護士相談」としています。
このページの執筆者
弁護士 深田茂人(大分県弁護士会所属、登録番号33161)
大分市城崎町の深田法律事務所代表。
弁護士歴15年、交通事故の相談を800件以上担当してきました。交通事故被害者と保険会社の情報格差をなくしたいと思い、当サイトにて執筆しています。