交通事故の示談

更新日:2024年07月18日

執筆者:弁護士 深田 茂人

交通事故被害者が損をしないための情報を手軽に得られるように、「交通事故お役立ち手帳」サイトを運営・執筆しています。そのコンセプトに賛同する全国の交通事故に詳しい弁護士とともに、無料相談にも対応しています。弁護士歴18年、交通事故相談担当1000件以上、大分県弁護士会所属(登録No33161)。

執筆者プロフィール

このページでは、交通事故の「示談」について解説します。

相談者(困り顔)
示談(じだん)ってなんですか?
弁護士
加害者が被害者に払う金額を話し合いで決めることです。事故から示談までの流れ、示談までにすべきこと、話し合いの方法、示談書などについて説明します。

示談とは

交通事故の示談(じだん)とは、加害者が被害者に支払う慰謝料などの賠償金額を両当事者で話し合って決めることです。

加害者が任意保険に加入している場合は、保険会社の担当者が、加害者に代わって、被害者と話し合うことが多いです。

話し合って決まった金額を示談金(じだんきん)といいます。

示談金

なお、示談のことを「和解」と言うこともありますが、意味はほぼ同じです(厳密には、和解は「お互いが譲る」という意味が含まれますが、ここで大切なのは、話し合って決めた内容ですので、言葉は気にしなくてよいです)。
自動車事故では「示談」という言葉がよく使われます。

示談までの流れ

事故後、加害者側の保険会社との示談までの流れは、通常、以下のとおりです。

弁護士
以下の1~6の順で、保険会社とやりとりをしていきます。
  1. 保険会社から連絡がくる
    その際に入通院先を伝えると、治療費の支払いについて保険会社から病院に連絡をしてもらえます。
  2. 保険会社から必要書類が送られてくる
    必要事項を記入して送り返すと、治療費や休業損害などの支払いを受けられます。
  3. 治療費の打ち切りを打診してくる
    治療費の打ち切りが妥当かについてのやりとりが必要です。
  4. 後遺症がある場合は、後遺障害診断書の書式が送られてくる
    後遺障害診断書を医師に記入してもらい、保険会社に提出すると、しばらくして、後遺障害等級の認定結果が伝えられます。
  5. 示談交渉
    賠償金についての話し合いをします。まとまれば、示談成立となり、賠償金が支払われます。
  6. 裁判
    話し合いがまとまられなければ、裁判をします。

くわしくは「保険会社への対応」のページをご覧ください

加害者が無保険の場合はこちら

示談交渉の前にしておくべきこと

示談交渉をする前に有利な証拠を揃えておくと、その後の示談交渉を有利に進められます。
示談交渉の前から、以下のような対応をとっておく必要があります。

交通事故証明書を警察に作成してもらう

事故に遭ったことを警察に連絡して、「交通事故証明書」を作成してもらいましょう。

交通事故が発生したことの証拠になります。

実況見分調書などの刑事記録を警察に作成してもらう

警察にどのような事故であったかを記憶のとおりに話して、「実況見分調書」などの記録を作ってもらいましょう。

事故の責任が加害者にあることや、双方の過失割合の証拠になります。

事故現場の証拠を集める

破損した物が散らばった現場の状況や、事故車の破損した部分などを携帯電話のカメラで撮影したり、事故車や後続車などにドライブレコーダーが搭載されていないかを確認したり、事故の目撃者がいないかを確認するなどしましょう。

これらは、事故の責任が加害者にあることや、双方の過失割合の証拠になります。

医師に診断書を作成してもらう

ケガをした可能性があるのであれば、事故後すぐに病院に行って、「診断書」を作成してもらいましょう。

事故後すぐに作成した診断書は、事故が原因でケガをしたことの証拠になります。

医師にカルテなどの医療記録を継続して作成してもらう

体調が悪いのであれば、継続して病院に通院し、カルテなどを作成してもらいましょう。

慰謝料は、ケガの内容や通院の回数によって、金額が変わります。
また、休業損害を請求するには、各時期において仕事ができない身体の状況であったことを証明する必要があります。
さらに、後遺症の慰謝料などを請求するには、一定期間にわたって身体の状況がどのようであるかを証明する必要があります。

これらを証明するためには、カルテなどに各時期のケガの内容や継続した通院の記録がなされていることが必要です。

示談交渉

交通事故の示談交渉(じだん こうしょう)とは、加害者が被害者に支払う金額を決めるための話し合いです。

交通事故の加害者(または加害者の加入する保険会社)が被害者に支払うべき金額は決まっていませんので、加害者(または保険会社)と被害者が話し合って決める必要があります。

そして、その話し合いでは「弁護士基準」の金額を保険会社に提案するとよいでしょう。
弁護士基準は、金額がもっとも高くなる計算方法です。

保険会社「任意保険基準」 被害者「弁護士基準でお願いします」

電卓を持つ弁護士
慰謝料などの賠償金自動計算機のページでは「弁護士基準」で賠償金を自動計算できます

過失割合が問題になっている場合はこちら

保険会社との話し合いが難しいと思われる場合は、弁護士に相談することをお勧めします。

示談書

交通事故の示談書(じだんしょ)とは、加害者と被害者が話し合って決めた解決内容(支払い金額など)を記載した書面に、両者が署名押印をしたものです。

話し合いがまとまったときは、示談書を作成しましょう。

示談書を作成しないと、後でどのような解決内容であったかについて双方の記憶が食い違ったりして、解決できなくなったりするおそれがあります。

示談書の書式(テンプレート)や免責証書(めんせき しょうしょ)についてはこちら

示談を覆すのは難しい

サインをして示談が成立した後は、示談で決まったことを覆すのはとても難しくなります。
なぜなら、示談によって全て解決したことになっているはずだからです。簡単に示談を覆すことができるとすると、示談による解決ができなくなってしまうのです。

示談をする前には、十分に情報を入手し、慎重に検討してください。

くわしくは示談交渉のページをご覧ください

裁判

賠償金額について、保険会社と話し合いがまとまらない場合は、裁判をすることになります。

時効

時効になる前に、示談をするか裁判をするかしなければ、慰謝料などの賠償請求をすることができなくなってしまいます。

時効の期間は以下のとおりです。
*時効は、起算点や猶予など専門性の高い判断を要します。そのため、時効になる可能性がある場合は、早めに弁護士に相談することをお勧めします。

・人身事故の加害者に対する賠償請求
5年(2017年4月1日以降に発生した事故)
3年(2017年3月31日以前に発生した事故)

2020年4月1日に施行された民法改正により、5年になりました。同日までに3年が経過していなかったものも改正法が適用されるため、2017年4月1日以降に発生した事故の人身分の賠償請求権の時効が5年になります。
さらに、ひき逃げなどで事故時に加害者が判明していないケースでは、2017年4月1日より前の事故でも時効が5年になる可能性があります。

・人身事故の加害者の自賠責保険に対する請求
3年

・物損事故の加害者に対する賠償請求
3年

時効になる前に、「示談」「期間を猶予する合意書の作成」「権利の承認」のいずれもできない場合は、時効にならないように裁判をする必要性が高くなります。

くわしくは示談交渉のページをご覧ください

このページの執筆者
弁護士 深田茂人

弁護士 深田茂人
大分県弁護士会所属
登録番号33161

大分市城崎町の深田法律事務所代表。
弁護士歴18年、交通事故の相談を1000件以上担当してきました。交通事故被害者と保険会社の情報格差をなくしたいと思い、当サイトにて執筆しています。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

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