2021.12.06 更新

学生・幼児の死亡逸失利益

このページでは、学生や幼児の方が交通事故で亡くなられたために将来稼ぐはずであったお金を保険会社に請求する際の計算方法について解説します。

金額の計算方法(弁護士基準)

死亡逸失利益とは、交通事故で亡くなられたために稼ぐことができなくなったお金のことです。

弁護士基準では、次の式によって金額を計算します。
弁護士基準は、過去の裁判例に基づく計算方法であり、金額が最も高くなります。)

予測される将来の年収✕(100%-生活費控除率)✕就労可能年数のライプニッツ係数

まず、「予測される将来の年収」から「生きていたら本人が使ったであろう生活費」を差し引いた1年分の金額を計算します。

さらに、その金額に「生きていたら仕事をしたであろう年数(就労可能年数)のライプニッツ係数」をかけ算して、死亡逸失利益の金額を算出します。
ライプニッツ係数でかけ算するのは、将来稼げるはずだったお金をすぐに請求するため金利を差し引く必要があるからです。

以下では「予測される将来の年収」「生活費控除率」「就労可能年数のライプニッツ係数」の順に解説します。

予測される将来の年収

学生や幼児が生きていた場合の将来の年収を、正確に予測することは現実的に不可能です。

そのため、性別や年齢などを考慮しつつ、日本人の平均年収を目安として、以下のように計算されることが多いです。

男性

  • 幼児・小中学生、高校生
    男性の平均年収で計算されることが多いです。
    令和元年の男性平均年収は560万9700円です。
  • 高専・短大生
    高専・短大卒の男性平均年収で計算されることが多いです。
    令和元年の高専・短大卒の男性平均年収は516万5200円です。
  • 大学・大学院生
    大学・大学院卒の男性平均年収で計算されることが多いです。
    令和元年の大学・大学院卒の男性平均年収は671万4600円です。

女性

  • 幼児・小中学生、高校生
    男女の平均年収で計算されることが多いです。
    令和元年の男女の平均年収は500万6900円です。
  • 高専・短大生
    高専・短大卒の女性平均年収で計算されることが多いです。
    令和元年の高専・短大卒の女性平均年収は406万5500円です。
  • 大学・大学院生
    大学・大学院卒の女性平均年収で計算されることが多いです。
    令和元年の大学・大学院卒の女性平均年収は472万0400円です。

生活費控除率

生活費控除率とは、生きていたら本人が生活費に使った割合のことです。

ケースにもよりますが、以下は学生や幼児の場合に多く見られる生活費控除率です。

  • 男性
    50%
  • 女性
    幼児・小中・高校生:45%
    高専・短大・大学・大学院生:30%

就労可能年数のライプニッツ係数

就労可能年数とは、生きていたら仕事をしたであろう年数です。

以下の年数とされることが多いです。

  1. 幼児・小中学生
    18歳から67歳まで。
  2. 高校生、高専・短大生、大学・大学院生
    卒業予定の年齢から67歳まで。

ライプニッツ係数は、将来稼げるはずだったお金をすぐに請求するための金利を差し引く計算方法です。

*死亡日が卒業予定日よりも後になった場合、死亡逸失利益とは別に、卒業予定日から死亡日までの休業損害を請求できるケースがあります。本サイトの慰謝料などの賠償金自動計算機では、その場合の休業損害の計算がされませんので弁護士に相談してください。

計算例

8歳の男子が亡くなった場合の弁護士基準による死亡逸失利益の計算は、次のとおりです。

560万9700円×(100%-50%)×18.9756=5322万3711円

*18歳から67歳までの年数のライプニッツ係数は、8歳から67歳までの59年のライプニッツ係数である27.5058から、8歳から18歳までの10年のライプニッツ係数である8.5302を差し引いた、18.9756です(2020年4月1日以後の事故として、金利年3%で計算しています)。

金額が増減する個別事情

上記の計算方法は、過去の裁判例に基づく弁護士基準によるものです。
弁護士基準は、目安や相場であり、個別の事情により金額は増減する可能性があります

たとえば、将来の年収が具体的に予測できる場合、その予測される年収で計算される可能性があります。
典型的な例は医学部生であり、医師の平均年収で計算される可能性があります。

このページの執筆者
弁護士 深田茂人(大分県弁護士会所属、登録番号33161)
大分市城崎町の深田法律事務所代表。
弁護士歴15年、交通事故の相談を800件以上担当してきました。交通事故被害者と保険会社の情報格差をなくしたいと思い、当サイトにて執筆しています。