2022.07.04 更新

会社経営者や役員の死亡逸失利益

このページでは、会社経営者や役員の死亡逸失利益について解説します。
死亡逸失利益とは、亡くなったことによって稼げなくなったお金のことです。

なお、会社(法人)ではなく、個人事業主の場合は、個人事業主の死亡逸失利益のページをご覧ください。

基本的には会社員(正社員・アルバイト)の死亡逸失利益と計算方法などは同じ

計算方法などの概要は以下のとおりです。

赤字部分以外は、会社員(正社員・アルバイト)の死亡逸失利益と同じですので、詳しくは会社員の死亡逸失利益のページをご覧ください。

年収✕(100%-生活費控除率)✕就労可能年数のライプニッツ係数

「年収」は、事故にあう前の年の年収です(税金や社会保険料などを控除する前の税込額)。
同族会社の場合、役員報酬中の労務対価部分の金額に限られる可能性があります
20代の若年者で年収が低い場合は、同性の平均年収で計算されることが多いです。

「生活費控除率」には目安があります。

「就労可能年数」は、原則として67歳までの年数です。
高齢者の場合は平均余命までの2分の1の年数です。

「ライプニッツ係数」で計算するのは、将来稼げるはずだったお金をすぐに請求するため金利を差し引く必要があるからです。

計算例

年収が900万円で、そのうちの労務対価部分は700万円の会社役員の男性(47歳、扶養家族1人)の死亡逸失利益の計算は、以下のとおりです。

700万円×(100%-40%)×14.8775=6248万5500円

「14.8775」は、20年(=67歳-47歳)のライプニッツ係数です(2020年4月1日以後の事故として、金利年3%で計算しています)。

金額が増減する場合

上記の計算方法は、過去の裁判例に基づく弁護士基準によるものです。
弁護士基準は、目安や相場ですので、個別の事情によっては、金額は増減する可能性があります。

【増額する可能性がある個別の事情の例】

  • 将来の昇給が予定されていた
  • 退職金が減った

【減額する可能性がある個別の事情の例】

  • 将来の減給が予定されていた
  • 年収がかなり高い
    生活費控除率が高くなることがあります。

役員報酬中の労務対価部分の金額に限られる可能性がある(同族会社の場合)

役員の場合、従業員とは異なり、報酬の中には労働の対価だけでなく、出資などに対する利益配当的な部分も含まれている可能性があります。

そして、死亡逸失利益とは、労働の対価としての報酬の減額分のことです。同族会社の場合は、利益配当的な部分は親族に引き継がれ、失われることはないと考えられます。

そのため、同族会社の役員の死亡逸失利益を計算する場合は、役員報酬のうち、死亡による影響のない利益配当的な部分は除き、労働の対価部分の金額のみを「年収」として計算される可能性があります。

具体的には、役員の仕事内容、報酬の額、同種の仕事をしている従業員の給料との差、同族会社であるか、親族でない役員の報酬との差などを考慮して、労働の対価部分の金額を算出するのですが、単純に計算できるものではありません。

また、利益配当的な部分が親族に引き継がれて失われていないと考えられるかについて、裁判でも裁判官によって判断が異なる可能性があります(失われたと考えるのであれば、利益配当的な部分も含めて計算できることになります)。

そのため、いったんは役員報酬の全額をもとに死亡逸失利益を計算し、労働の対価とはいえない部分が報酬に含まれているか、利益配当的な部分は誰に引き継がれたかなどを考慮しながら、保険会社との示談交渉の中で減額に応じることを検討するのが現実的な方法と考えられます。

なお、大企業の役員などのサラリーマン重役の場合は、報酬の全額が労務対価部分であると考えますし、仮に利益配当的な部分があったとしても親族に引き継がれることは想定できないので、報酬全額を年収として死亡逸失利益の計算をするのが一般的です。

*本サイトの慰謝料などの賠償金自動計算機では、役員報酬の全額をもとに死亡逸失利益を計算しています。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

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このページの執筆者
弁護士 深田茂人

弁護士 深田茂人
大分県弁護士会所属
登録番号33161

大分市城崎町の深田法律事務所代表。
弁護士歴16年、交通事故の相談を900件以上担当してきました。交通事故被害者と保険会社の情報格差をなくしたいと思い、当サイトにて執筆しています。