2021.07.20 更新

信号機のない交差点で二段階右折を怠った自転車と対向する直進車の事故の過失割合

このページでは、信号機のない交差点で二段階右折を怠って右折した自転車と対向する直進車(バイクや原付も含む)の事故の過失割合を調べることができます。

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事例No297 右折する自転車と対向する直進車の事故

信号機のない交差点で二段階右折を怠って右折する自転車と対向する直進車の事故の過失割合

信号機のない交差点で二段階右折を怠った自転車と対向する直進車の事故の過失割合の目安は、以下のとおりです(上図の車がバイクや原付であった場合も含みます)。

過失割合

自転車
45 55
45 55

以下の質問に回答していくと上記の過失割合の%が変化して、より詳しく調べることができます。

夜(日没~日の出)でしたか?
自転車を運転していた人は12歳以下又は65歳以上でしたか?
自転車は酒酔い運転(まっすぐ歩けない等)又はブレーキ不良でしたか?
車は時速30km以上の速度違反でしたか?
車は、酒酔い(まっすぐ歩けない等)、居眠り、無免許のいずれかでしたか?

過失割合の解説

自転車は、交差点を右折するときは、下図のように二段階右折しなければなりません(道路交通法第34条3項)。なぜなら、自転車は、車と比べると速度が遅いため、車と同じように右折するのは危険が大きく、歩行者に準じた通行をするのが安全といえるからです。

二段階右折

本事例では、自転車が二段階右折を怠っているので、自転車の過失割合は大きくなります。もっとも、自転車は車に比べると交通弱者といえます。
そのため、基本の過失割合は「自転車:車=45%:55%」となります。
ただし、上の各質問のような個別の事情があると、過失割合は変化することがあります。

実際の裁判例としては、東京地方裁判所の平成7年12月26日判決があります。
事故現場は、最高速度が毎時30kmのセンターラインのない幅員7mのほぼ直線の道路(本件道路)と、幅員3.3mの道路が交わる、信号機のない丁字路交差点でした。本件道路上には視界を妨げる障害物はなく、前方約80m先が視認できる状況でした。
車の運転者は、本件道路を何度も通行したことがあり、道路の状況や交通規制についてよく知っており、事故現場に横断歩道が存在し、丁字路になっていることも知っていました。事故当日、仕事が終わった後、勤務先の同僚や客らとともに午後7時20分ころから約1時間位の間、居酒屋で食事をしながら、ビール中ジョッキを1杯飲みました。その後、1人で車を運転して交際相手の家に行き、午後11時10分ころまで過ごしましたが、その間は飲酒をしませんでした。そして、勤務先の寮に戻るため、午後11時20分ころ、車を運転し、ライトをやや下向きにして、本件道路を時速約70kmで進行していました。本件道路には、ほかの車は通行していませんでした。一方、自転車の運転者は、事故当日、午後1時過ぎまで自宅で飲食店の仕事をした後、午後2時ころ、映画の撮影所に行くと言って自転車で出掛け、撮影所内で行われた仕事の打上げに参加し、午後10時ころ、さらに寿司屋に行ってから自転車で自宅に戻る途中、無灯火で、車に対向して進行していました。車の運転者は、自転車がややぎこちない走り方をしているのに気づきましたが、そのまま直進するものと思い、時速約70kmのまま進行したところ、自転車が右斜めに横断してくるのが見えたため、直ちに急ブレーキをかけましたが間に合わず、横断歩道上で自転車に車を衝突させました。
車の運転者は、事故時はいつもと変わらない感じで、飲酒の影響はなかったと述べており、事故後に飲酒検知を受けることはありませんでした。自転車の運転者の血液からは、1ミリリツトル当たり1.2ミリグラムのアルコールが検出されました。微酔程度で、一般に抑制が取れ、陽気となり、決断も早くなるが、誤りも増える状態にあると考えられる程度でした。
判決では、信号機のない比較的小さな交差点では、自転車が二段階右折の方法をとらないことはよくあることから、自転車がそのような通行方法をとらなかったことをことさら不利に扱うのは相当でないとし、夜間であったことや、車が時速30km以上の速度違反であったこと等が考慮され、自転車:車=20%:80%と判断されました。

上で表示される数値(%)は、各種法律文献を参考にして検討されたものであり、おおよその目安です。示談するときは事前に弁護士にご相談ください。
詳しくは自転車と車の事故の過失割合の数値(%)の根拠をご覧ください。

このページの執筆者
弁護士 深田茂人(大分県弁護士会所属、登録番号33161)
大分市城崎町の深田法律事務所代表。
弁護士歴15年、交通事故の相談を800件以上担当してきました。交通事故被害者と保険会社の情報格差をなくしたいと思い、当サイトにて執筆しています。