大分市城崎町の深田法律事務所代表。
弁護士歴18年、交通事故の相談を1000件以上担当してきました。交通事故被害者と保険会社の情報格差をなくしたいと思い、当サイトにて執筆しています。
信号機のある交差点を横断する自転車と対向右折車の事故の過失割合(自転車の信号が青または黄)
更新日:2023年03月01日
このページでは、自転車が青または黄信号で交差点を横断していたところ、対向してきた右折車によって被害を受けた事故の過失割合を調べることができます。
- 信号の色をお選びください
歩行者用信号機と車両用信号機の両方がある場合、自転車が従うべき信号は次のとおりです。
- 横断歩道を通って横断する場合は歩行者用信号
- 横断歩道を通らずに横断する場合は車両用信号
ただし、歩行者・自転車専用信号機がある場合は、その信号に従わなければなりません。
【このページの事例とは異なる事故の過失割合を調べたい方はこちら】
このページの事例は「自転車と車」「交差点」「自転車が道路を横断中」「車は対向右折」「信号機あり」「自転車の信号は青または黄」の事故です。
- 自転車ではなく歩行者の場合
横断歩道上の歩行者と赤または黄信号の右左折車の事故の過失割合
青・黄点滅・赤点滅信号のいずれかで右折または左折した車と横断歩道を渡っていた歩行者の事故の過失割合
横断歩道の途中で信号が変わった歩行者と赤信号の右左折車の事故の過失割合
横断歩道を渡っていた途中で信号が変わった歩行者と青または黄信号で右折または左折した車の事故の過失割合
横断歩道の途中で信号が変わった歩行者と赤信号の右左折車の事故の過失割合(安全地帯を過ぎた所での事故)
横断歩道の途中で信号が変わった歩行者と青または黄信号の右左折車の事故の過失割合(安全地帯を過ぎた所での事故) - 車は対向右折でない場合
信号機のある交差点での自転車と車の出合い頭事故の過失割合
信号機のある交差点を横断中の自転車とその後方の道路から右折した車の事故の過失割合 - 信号機なし
信号機のない交差点を横断中の自転車と対向車の事故の過失割合
交差点以外の道路を横断中の自転車と車の事故(信号機なし)の過失割合 - 自転車の信号は赤の場合
信号機のある交差点を横断する自転車と対向右折車の事故の過失割合(自転車の信号が赤)
そのほかの事故の場合は、過失割合TOPページから質問に答えていくと、あてはまる事故のページにたどり着くことができます。
事例No210 自転車の信号が青、右折車の信号も青の事故
交差点を横断する自転車の信号が青、対向右折車の信号も青の事故の過失割合の目安は以下のとおりです。
過失割合
自転車 | 車 |
---|---|
10 | 90 |
10 | 90 |
下の質問に回答していくと、上記の過失割合の%が変化して、より詳しく調べることができます。
過失割合の解説
右折車は直進する自転車の進行妨害をしてはなりません(直進優先。道路交通法第37条)。
また、右折車は徐行しながら注意しなければなりません(道路交通法第34条2項)。
さらに、自転車は車に比べて交通弱者といえます。
そのため、基本の過失割合は「自転車:車=10%:90%」となります。
ただし、上の各質問のような個別の事情があると、過失割合は変化することがあります。
たとえば、車の運転者が、カーナビ・携帯電話等を注視していた場合、車の過失割合が大きくなります。
また、上の質問に含まれてはいませんが、考え事をしているなどで前方不注視が著しい場合も、車の過失割合が大きくなる可能性があります。
実際の裁判例としては、東京地方裁判所の平成15年11月27日判決があります。
事故現場は、歩道と車道とが植込みで区別された幅員約9mの東西に走る市道(東西道路)と、両側端に白い外側線が設けられた幅員約6mの南北に走る市道(南北道路)が交わる交差点の横断歩道上でした。東西道路の歩道は、自転車の通行が許されていました。事故当時の天候は曇りでした。
自転車の運転者は、仕事先から自宅に帰るため、東西道路の南側の歩道を東に向かって自転車で走行し、本件交差点の西側に達すると、南北道路を北進するため、信号待ちをしていました。そして、対面信号が青色に変わったことから、左右を確認した上で、横断歩道上を走行し始めました。一方、車の運転者は、買い物のため、南北道路を南に向かって時速約40kmで車を走行させていましたが、本件交差点で右折するために減速し、対面信号が青色であったことから、そのまま交差点内に進入し、ゆっくり右折を始めましたが、少しぼんやりと考え事をしていました。自転車の運転者は、車が右折してくるのに気づきましたが、停止するものと思い、そのまま横断歩道上を走行し続けようとしました。車の運転者は、自転車の存在に全く気づかず、そのまま右折進行を続け、車と自転車が衝突しました。
判決では、車の運転者がぼんやりと考え事をして自転車の存在に全く気づかなかった点が重視され、自転車:車=0%:100%と判断されました。
上で表示される数値(%)は、各種法律文献を参考にして検討されたものであり、おおよその目安です。示談するときは事前に弁護士にご相談ください。
詳しくは自転車と車の事故の過失割合の数値(%)の根拠をご覧ください。
道路交通法第37条
「車両等は、交差点で右折する場合において、当該交差点において直進し、又は左折しようとする車両等があるときは、当該車両等の進行妨害をしてはならない。」(*太字引用者)道路交通法第34条2項
「自動車、原動機付自転車又はトロリーバスは、右折するときは、あらかじめその前からできる限り道路の中央に寄り、かつ、交差点の中心の直近の内側(道路標識等により通行すべき部分が指定されているときは、その指定された部分)を徐行しなければならない。」(*太字引用者)
事例No211 自転車の信号が黄、右折車の信号も黄の事故
交差点を横断する自転車の信号が黄、対向右折車の信号も黄の事故の過失割合の目安は以下のとおりです。
過失割合
自転車 | 車 |
---|---|
20 | 80 |
20 | 80 |
下の質問に回答していくと、上記の過失割合の%が変化して、より詳しく調べることができます。
過失割合の解説
右折車は直進する自転車の進行妨害をしてはなりません(直進優先。道路交通法第37条)。
また、右折車は徐行しながら注意しなければなりません(道路交通法第34条2項)。
さらに、自転車は車に比べて交通弱者といえます。
ただし、自転車は黄信号で横断を開始しており、その点において違反があるので、青信号の場合よりも過失割合が大きくなります。
そのため、基本の過失割合は「自転車:車=20%:80%」となります。
ただし、上の各質問のような個別の事情があると、過失割合は変化することがあります。
なお、上の質問には含まれていませんが、自転車が自転車横断帯を横断していた場合、状況によっては、基本の過失割合を小さくする見解もあります。
上で表示される数値(%)は、各種法律文献を参考にして検討されたものであり、おおよその目安です。示談するときは事前に弁護士にご相談ください。
詳しくは自転車と車の事故の過失割合の数値(%)の根拠をご覧ください。
道路交通法施行令第2条1項4項
「黄色の灯火 車両及び路面電車(以下この表において「車両等」という。)は、停止位置をこえて進行してはならないこと。ただし、黄色の灯火の信号が表示された時において当該停止位置に近接しているため安全に停止することができない場合を除く。」
「人の形の記号を有する青色の灯火の点滅 横断歩道を進行しようとする普通自転車は、道路の横断を始めてはならないこと。」
「人の形の記号を有する青色の灯火の点滅 自転車は、道路の横断を始めてはならず、また、当該信号が表示された時において停止位置に近接しているため安全に停止することができない場合を除き、停止位置を越えて進行してはならないこと。」(*太字引用者)
事例No212 自転車の信号が黄、右折車の信号が青から黄に変わった事故
自転車が黄信号で交差点を横断し、車が青信号で交差点に入ってきて黄信号で右折した事故の過失割合の目安は以下のとおりです。
過失割合
自転車 | 車 |
---|---|
40 | 60 |
40 | 60 |
下の質問に回答していくと、上記の過失割合の%が変化して、より詳しく調べることができます。
過失割合の解説
右折車は直進する自転車の進行妨害をしてはなりません(直進優先。道路交通法第37条)。また、右折車は徐行しながら注意しなければなりません(道路交通法第34条2項)。さらに、自転車は車に比べて交通弱者といえます。そのため、基本の過失割合は車の方が大きくなります。
もっとも、車は青信号で交差点に入り、黄信号で右折をしており、信号違反がありません。それに対し、自転車は黄信号で横断を開始しており、その点において違反があります。
その分、自転車の過失割合も大きくなり、基本の過失割合は「自転車:車=40%:60%」となります。
ただし、上の各質問のような個別の事情があると、過失割合は変化することがあります。
たとえば、自転車横断帯がある場所の付近では、自転車はその自転車横断帯を通って道路を横断しなければなりません(道路交通法第63条の6)。このように、自転車横断帯は、自転車が横断することがまさに予想される場所なので、自転車横断帯や自転車横断帯に隣接する横断歩道を横断していた自転車は、過失割合が小さくなります。なお、自転車横断帯が隣接していない横断歩道では、自転車は車道または横断歩道のいずれを通って横断してもよいので、そのような横断歩道を通って横断していた自転車の過失割合が小さくなることはないと考えられます(ただし、自転車が安全を求めて横断歩道を通っていることを考慮して、過失割合を小さくするべきとの見解もあります)。
上で表示される数値(%)は、各種法律文献を参考にして検討されたものであり、おおよその目安です。示談するときは事前に弁護士にご相談ください。
詳しくは自転車と車の事故の過失割合の数値(%)の根拠をご覧ください。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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