2021.09.24 更新

優先道路を直進する車と非優先道路を直進する車の出合い頭の事故の過失割合(信号機のない十字路交差点)

このページでは、四輪自動車同士または単車同士の事故のうち、信号機のない十字路交差点の優先道路を直進する車と非優先道路を直進する車の出合い頭の事故の過失割合を調べることができます。
優先道路とは、交差点内に車線が引かれている道路、または、優先道路の標識等のある道路のことです。

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事例No788 信号機のない十字路の直進車同士の出合い頭事故(一方が優先道路)

優先道路を直進する車と非優先道路を直進する車の出合い頭の事故

優先道路を直進する車と非優先道路を直進する車の出合い頭の事故の過失割合の目安は、以下のとおりです(上図の青い車のどちらかと赤い車の事故です。両者がともに単車(バイクまたは原付)であった場合も含みます)。

過失割合

優先道路走行車 非優先道路走行車
10 90
10 90

以下の質問に回答していくと上記の過失割合の%が変化して、より詳しく調べることができます。

優先道路走行車は、時速30km以上の速度違反、酒酔い(まっすぐ歩けない等)、居眠り、無免許のいずれかでしたか?
非優先道路走行車が交差点に明らかに先に入りましたか?
非優先道路走行車は、時速30km以上の速度違反、酒酔い(まっすぐ歩けない等)、居眠り、無免許のいずれかでしたか?

過失割合の解説

信号機のない交差点の交差する道路の一方が優先道路である場合、非優先道路走行車は、優先道路走行車の進行妨害をしてはならず、徐行しなければなりません(道路交通法第36条2項3項)。
そのため、基本の過失割合は「優先道路走行車:非優先道路走行車=10%:90%」となります。

ただし、上の各質問のような個別の事情によっては、過失割合は変化することがあります。
たとえば、非優先道路走行車が交差点に明らかに先に入った場合、優先道路走行車の過失割合が大きくなります。なお、非優先道路走行車が明らかに先に入った後、交差点内で停止していたときに事故が起きたような場合は、もはや出合い頭とはいえず、本事例とは異なった考慮をする必要があります(本事例よりも優先道路走行車の過失割合が大きくなると考えられます)。

実際の裁判例としては、名古屋地方裁判所の平成23年8月19日判決があります。
事故現場は、南北に走る優先道路(黄色実線のセンターラインが引かれている道路)と、東西に走る道路が交わる交差点でした。東西に走る道路は、本件交差点の手前に一時停止の規制がありました。優先道路を時速50km余り(制限速度は時速40km)で北進する車(優先道路走行車)は、対向車線が渋滞していたため、東側の見通しが非常に悪い状況で、本件交差点が存在することも認識していませんでした。他方、本件交差点の東側から西進してきた車(非優先道路走行車)は、交差点の北側の車が停止してくれたため、急いで本件交差点を渡らなければならないと思って、南側はよく見えていなかったのですが、アクセルを踏んで出たところ、南側から来た優先道路車と衝突しました。
判決では、優先道路車が本件交差点の存在を認識していないことについては、仮に本件交差点や非優先道路車の存在を認識したとしても、当時の両車の位置関係からすると、非優先道路車が停止し続けることを当然期待して、そのまま進行したと考えられるから、過失割合に影響しないと判断しました。また、時速10kmオーバーの点についても、仮に、時速40kmで走行していたとしても、事故の発生を回避することはできなかったと考えられると判断しました。そして、優先道路走行車:非優先道路走行車=0%:100%と判断しました。
渋滞のため見通しが悪いので、非優先道路車は、渋滞車両間を抜けるにあたっては、あらためて左右の確認をしなければならないところ、左側の確認を怠り、かつ、急いでアクセルを踏んだ点が考慮されたものと考えられます。

上で表示される数値(%)は、各種法律文献を参考にして検討されたものであり、おおよその目安です。示談するときは事前に弁護士にご相談ください。
詳しくは四輪自動車同士または単車同士の事故の過失割合の数値(%)の根拠をご覧ください。

道路交通法第36条2項3項
「車両等は、交通整理の行なわれていない交差点においては、その通行している道路が優先道路(道路標識等により優先道路として指定されているもの及び当該交差点において当該道路における車両の通行を規制する道路標識等による中央線又は車両通行帯が設けられている道路をいう。以下同じ。)である場合を除き、交差道路が優先道路であるとき、又はその通行している道路の幅員よりも交差道路の幅員が明らかに広いものであるときは、当該交差道路を通行する車両等の進行妨害をしてはならない。
車両等(優先道路を通行している車両等を除く。)は、交通整理の行なわれていない交差点に入ろうとする場合において、交差道路が優先道路であるとき、又はその通行している道路の幅員よりも交差道路の幅員が明らかに広いものであるときは、徐行しなければならない。」
このページの執筆者
弁護士 深田茂人(大分県弁護士会所属、登録番号33161)
大分市城崎町の深田法律事務所代表。
弁護士歴15年、交通事故の相談を800件以上担当してきました。交通事故被害者と保険会社の情報格差をなくしたいと思い、当サイトにて執筆しています。